プロレス/新日本プロレス

路上王からメジャーの王者になったケニー・オメガ

前回、メジャーとインディーの垣根を越えた男として新日本プロレス&DDTの両団体で活躍する飯伏幸太にスポットを当てましたが、今回は飯伏を追うように昨年10月にDDTを退団して11月に新日本と契約、今年1月4日の東京ドームで田口隆祐を破ってIWGPジュニア・ヘビー級王者になったケニー・オメガの魅力に迫ります。

小佐野 景浩

執筆者:小佐野 景浩

プロレスガイド

画像説明39

IWGPジュニア・ヘビー級王者ケニー・オメガ

飯伏と共通する少年時代&プロレスの感性

「飯伏さんが選んだDDTと新日本の2団体所属は正しい選択だったと思います。飯伏さんに追いつくために私も同じ道を辿りたかったけれども、私は目標に100%集中しないとできない。これからは新日本に100%集中してジュニア・ヘビー級のトップを目指す」。

昨年10月3日に新日本の菅林直樹会長、DDTの高木三四郎社長同席のもとでDDT退団及び新日本との契約記者会見を行ったケニー・オメガはこう語りました。振り返ると、オメガは2008年8月にDDTに初来日した時から飯伏幸太に追いつけ追い越せで今日の地位を築いたのです。

1983年10月16日、カナダ・マニトバ州ウィニペグで生まれたオメガは、幼少の頃からWWEのプロレス番組にはまり、積もった雪の上でプロレスごっこをする少年でした。小学校高学年になってからは友達と本格的にバックヤード・レスリングと呼ばれる庭でのプロレス大会を本格的に開催するようになったといいます。その少年時代は、小学校から中学卒業までプロレスごっこに熱中して校庭などで試合を披露していた飯伏とダブります。

飯伏に負けないオメガの華麗な空中殺法の原点はジャッキー・チェンの映画です。アクション映画も好きでジャッキー・チェンに憧れていたオメガは、その派手なアクションを自分のプロレスに取り入れました。さらに、どんな場所でも戦いの場にしてしまうジャッキー・チェンに刺激されて「リングの外でプロレスをやったらどうなるのだろうか?」という試みにもチャレンジ。プロになってからも湖や砂山で試合をやって”路上王”と呼ばれ、その評判を聞きつけたDDTが日本に招聘することになったのです。その感性はキャンプ場、商店街、遊園地…様々な場所でプロレスをやることに喜びを感じる飯伏と共通するものがあります。

08年8月6日に新木場で実現した飯伏との初対決はリング上と路上で、1本ずつ取った方が勝ちという変則ルールの60分3本勝負でした。1本目はオメガがアスファルトの路上にイスの山を作り、そこに飯伏を “みちのくドライバー2”で叩きつけてフォール勝ち。2本目は飯伏が路上に机を設置してその上にオメガを乗せ、清涼飲料水の自動販売機の上から“フェニックス・スプラッシュ”を決めて勝利。

それぞれ路上で1本を取ったため、決勝の3本目はリング上で争われ、飯伏がオメガの後頭部に左右から“バズゾーキック”を決めて勝ったという伝説の試合です。

これで心を通わせた2人は“ゴールデン☆ラヴァーズ”なるタッグチームを結成。09年1月24日にDDTのKO-Dタッグ選手権を奪取。10年10月11日には新日本に出陣して田口隆祐&プリンス・デヴィット(現在はWWEでフィン・ベイラーとしてファイト)からIWGPジュニア・タッグ王座を奪取。同年のプロレス大賞年間最高試合賞(ベストバウト)に輝きました。
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