論文を読むときの注意点
名門大学の論文の捏造やデータ改ざん問題などで明らかになりましたが、研究にも多くの社会的圧力や利害関係が存在します。研究には調査するための費用が必要です。その研究費用を捻出するために、研究が有益であるという企画書やプレゼンが必要になります。順当な手続きと公正な実施が行われればなんの問題もありませんが、費用を企業が出している場合、その企業にとって有利な研究結果が欲しいための研究となりかねないのです。また、研究者個人の利権や業績のために不正が行われることもあるかもしれません。
論文では研究から導き出された結論だからといって、必ずしも100%正しいということはありません。研究の企画そのものの問題や、企業の思惑も入っているかもしれません。また不正でなくても研究の実施と考察は人間のすることですので、結論には当然研究者の意志が入っています。見えない多くのバイアスがかかっているという前提は、論文や情報を読むためには重要です。
“研究対象となっているものや人が「自分」ではない”という事実も忘れてはなりません。十人十色ですので、結果を鵜呑みにして信じると、自分には合っていなかったということもあり得ます。
特に論文で常用される統計学では、有意差があるかないかが重要になります。詳細は省きますが、この有意差とは、ある操作をした群としない群との差と言う意味です。有意差があれば多くの方(多数)に当てはまるということです。しかし裏を返すと、多くではない方(少数)には当てはまるかどうか分からないと言う意味でもあります。つまり、読んでいる自分自身が多数の群に入っているか、少数の群に入っているかは論文では問題にしていないということです。
論文はあくまで限られた対象に対する、限られた条件下での、限られた結果なのです。ですから、論文を読む前にご自身の特徴を知っておく必要があります。例えば、論文で男性に有意差が出たので有益な薬だという結論の論文でも、自分が女性であれば自分にとっては信頼する論文ではないのです。
また、論文といっても研究をまとめたものであって真実が書いてある経典ではありません。そこには、多くの学閥や考え方があり、それぞれがそれぞれの立場で研究をしています。普遍的な大発見もあれば、研究者の自己満足なようなものもないわけではありません。ですから、知りたいテーマに対して、一つの論文で答えを出さないようにして下さい。業者とやり取りをするときも見積もりを数社から出してもらい相見積もりを取りますね。物事の判断も同じです。
まとめ
まとめると、論文はとても有益で一般の方のブログやHPなどに比べると、より客観的な情報です。しかし、読むにあたっては多くのバイアスがあるということを忘れてはいけません。自分にとってどうなのか、そもそも自分の特徴はなんなのか、どんな情報が必要なのかを明確化しておくことが重要です。多くの情報が溢れる現代に、自分にとって有益な情報を得るスキルは、さらに重要になってきていると思います。ご紹介したサイトを参考にしていただき、客観的な目を養い、自分の健康を自分の責任で管理していただければと思います。
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