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「LGBTの結婚式」と「ストレートの結婚式」3つの違い

LGBTカップルの結婚式とストレートのカップルの結婚式では、どんなところで違いが起きるのか?実際にあった実例をもとに解説します!

執筆者:林 康紀

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先日、女性芸能人の一ノ瀬文香さん、杉森茜さんが結婚式を行いましたね。
ニュースで目にした方も多いかと思います。

一ノ瀬文香、杉森茜が涙の結婚式「一緒に婚姻届を出しに行きたい」(スポーツ報知)

みなさん、LGBTカップルの結婚式って見たことありますか?行ってみると分かりますが、本当に感動します。男女のカップルでもいろいろある中で挙式するカップルもいると思いますが(雑ですみません)、同性カップルは社会的に認められていないことや、親に親不孝者だと言われたり親族にバカにされるんじゃないかという恐怖等、いろんな困難を2人で力を合わせて乗り越え、「何があっても私はこの人を愛している」と、式で宣言するのです。多くの人にとって、人生で最も感動する、素晴らしい瞬間だと思います。

さて、今回お二人が結婚式を行った”バトゥール東京”という式場は、結婚式を実施するにあたり、事前にLGBT研修を受講しました。実は、LGBTの結婚式ではストレートの場合と違って注意すべきポイントが、主に3つあります。

1.「男女二元論」が前提になっているもの

hetero-wedding

異性間の結婚

私たちが何気なく使っている様々な所で、「男女」に限定されているものがあります。わかりやすい例が、トイレです。男性トイレや女性トイレはありますが、身体の性によってのみトイレの使用者が定義されているため、男性でも女性でもない人のためのトイレは、なかなか日本では見かけないですね。

結婚式においても当てはまります。ウェディング関係者の間では、挙式するカップルを「新郎新婦」と呼ぶことが当たり前になっていますし、様々な書類や手順において「男女」を中心として設計されています。

例えば、式場に予約をするための申請書には「新郎さまお名前」「新婦さまお名前」と書いてあったりしますが、これをそのまま使うと同性カップルにとってはあまりよくないかもしれません。当日のタイムラインも「タキシード×ドレス」がスタンダードとして設計されているため、「ドレス×ドレス」の場合は「タキシード×ドレス」のカップルより着付けやお色直しに時間がかかったりすること等を考慮しなければなりません。

2.プライバシーへの配慮

Facebook などのSNSで、「○○の結婚式!○○、おめでと~★」といって挙式の様子を写真付きでWEBにアップしているのを、見かけたことがありますよね。私のような根暗な人間にとっては、見てて悔しいものがあります(笑)。

さて、実は、LGBTの結婚式においては、”挙式の様子をWEBにアップする”という行為に非常にセンシティブにならねばなりません。なぜなら、LGBTのカップルの結婚式にはLGBT当事者のご友人がゲストで参加している可能性が高く、そのご友人は自分のセクシュアリティを家族や職場などで隠している可能性があるからです。

人のセクシュアリティを、無許可に他人に暴露することを「アウティング」というのですが、アウティングがきっかけで友人との人間関係や、生活に重大な影響を及ぼす可能性もあり、LGBT当事者にとっては恐ろしいものです。これまでの同性の結婚式の中にも、アウティングを恐れてゲストが欠席した事例があります。

そのため、LGBTの結婚式においては、ゲストやカップルがどの範囲まで情報を公に出すのか、カップル、親族、ブライダル関係者、ゲストが事前にしっかり認識を揃えておく必要があります。また、挙式までのプランニングの段階においても、周りの人にはプランニングの様子が見えないよう個室を準備するなどして、普段から同性カップルのプライバシーに注意を払い、アウティングに気をつける必要があります。

3.カップルの親族や友人との関係性

よくある韓流ドラマのような駆け落ちしたストレートのカップルには当てはまらないかもしれませんが(ちなみに韓流ドラマでは駆け落ちすると必ず男女どちらか一方が交通事故に遭いますね)、通常ストレートのカップルの挙式では親族や職場の同僚、学生時代の同級生など様々な方を結婚式に呼びますね。

親族、ご友人みんなに祝われて、幸せいっぱいの「私、いま幸せの絶頂にいるのよ!」と幸せいっぱいの結婚式。妬ましい…いや、素晴らしいですね。LGBTのカップルでもいつかそういう式ができるようになる日本社会になって欲しいものです。

しかし現実はそうもいかないことが多いです。LGBTのカップルの結婚式においては、親族やご友人の誰を式に招待するのかに細心の配慮が必要です。両親や兄弟含め親族全員に自分のセクシュアリティをカムアウトしていないカップルだったら、親族を誰も呼べない可能性もあります。また、職場でセクシュアリティをカムアウトしていない人であれば、職場の人を呼ぶこともできません。逆にすべての人にオープンにセクシュアリティをカムアウトしている人であればだれでも呼ぶことができると思います。ウェディング関係者は、カップルが周りの親族や友人とどういった関係性なのか、しっかり把握した上でプランニングをしていく必要があります。

大まかに3つのポイントをお伝えしましたが、式場関係者にとって最も重要(というか前提意識)なのは「2人のために良い式を作り上げたい!」という想いだと思います。多少失礼なことがあっても「頑張って勉強しますが、わからないことはぜひ教えてください」と言えば、心優しいオープンなカップルなら優しく教えてくれるかもしれません。僕もいつかそういったプランナーさんと一緒に素敵な結婚式を挙げたいですが、シャイで性格に難ありなためなかなか恋人ができないのが実情です…。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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