明るく「見せる店」から効果的に「魅せる店」へ
店において売り上げを左右する要因に商品力、空間力、販売力があります。なかでも空間力は店舗のインテリアや展示、照明の善し悪しに大きく関係します。(写真2)写真2. レストランは特に空間力が重視され、照明もその大きな要素である
LED時代になって照明は、光源の選定や演出次第で商品をより魅力的に見せることができます。例えば野菜や肉などが照明で美味しそうに見えている売り場を見たことがありませんか?
これは波長をコントロールした特殊なLED光源で照明されているからです。(写真3)
写真3. 食物の種類で、それぞれがおいしく見えるように波長が制御された3種類LED光源。例えば右はパン類、中がトマト
このように最近の食品売り場は扱う商品によって、それらがより魅力的に見えることで購買意欲を高める照明が研究されています。
時代はもはや明るさの競争ではなく、いかに商品を魅力的に見せることで購買意欲を高めるような光の演出が重要になっているのです。
照明の演出効果は飲食店でより顕著に表れます。特に日本人の食に関する感覚として、食物を目で味わう文化があるためで、もし照明で料理が美味しく見えなかったら、その時点でお客様を逃すことになります。
また店内だけではなく店頭の雰囲気も大事です。店頭が寒々しく陰気な感じだったらどうでしょう。よほど何か別の魅力がない限り、喜んで入店する人はいないと思います。そのためにも店頭を含むファサード照明は夜に温かな光でお客様を迎えるウエルカム照明が特に必要になってくるのです。
このように、これからの店舗は「見せ」から、いかに魅力的に見せる「魅せ」に力を入れなければならず、そのためにも照明は演出効果にウエイトをおいた設計が求められるのです。
気分の高揚と売り上げ向上
ショップ空間の光に誘われて休日に家族で、または恋人同士で行く買い物は休みの楽しい過ごし方の一つです。特に何を買うといった目的を持たずに行っても、結局何かを買っている、という経験はありませんか。昔から多くの人が集まってものを売買する所を市と言いますが、その名残として各地で今も行われている青空市があります。このような市はどんよりと曇っている日より、さわやかな陽射しのもとのほうが商品である野菜や果物がよりいっそう美味しく見え、活気溢れる雰囲気もあります。
夜祭の雰囲気に欠かせない出店の光もたくさんの小さな光が煌くほど、その光に誘われて出かける人も多いです。
写真4. 光によって活性化されている商店街
店の規模や売り上げによって照明にどれだけ投資できるかの問題があります。そのため、光の演出効果に掛ける予算も店によって自ずと限られてしまいます。しかし、あまりお金をかけないで良い雰囲気を出している店も数多くあります。
時にはいろいろなお店の照明を見ることで家の照明をどうするかのヒントにしてみてはいかがでしょうか。
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