住宅ローンの借入/住宅ローンの選び方(新規)

注文住宅の「住宅ローン選び」に不可欠な3つの視点

注文住宅の住宅ローンは特殊といわれることがありますが、借りた住宅ローンそのものに関しては、何も違いはありません。でも、実際に融資を受けるまでの「資金計画」に細心の注意を払わないと困った事態に陥ります。注文住宅の「資金計画」をただの「予算」と勘違いしないために、知っておくべき3つの視点についてお伝えします。

中村 諭

執筆者:中村 諭

住宅ローンガイド

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 「幾ら用意すればいいのだろう?」ではうまくいかない資金計画

注文住宅の住宅ローン選びに不可欠な3つの視点

注文住宅の住宅ローン選びのポイント

注文住宅の「資金計画」をするうえで、最も危険な間違いは「予算」と勘違いしてしまうこと。つまり、「土地代、建築費、諸費用の合計金額を自己資金と住宅ローンで賄えればそれでOKでしょ」と考えてしまうことです。

「資金計画」を「予算」と考えてしまう人は、「幾ら用意すればいいのだろう?」と資金調達の視点が強すぎるのです。

分譲マンションや分譲住宅を購入する場合は、それで当面の問題は無いかも知れませんが、注文住宅の取得を考えている人は、実際の支払い時にとても困ったことになります。

新居へ引っ越しするまでが「資金計画」ではありません。住宅購入時に考えるべきは、30年後の未来も家族が笑顔で居られることなのです。それでは、老後破産に陥らないためにも、3つの視点について見てみましょう。

資金調達の視点(1つ目の視点)

住宅取得の為に「土地代」「建物代」「諸費用」の合計金額で総額幾ら必要になるのか、予算の全体像を把握します。そして、住宅取得のための「お金」をどこから、どうやって集めるのか?といった内容を考えます。この段階では、次の順番で検討します。

1.我が家に幾らの「現預金」があるのか、銀行や郵便局や証券会社に存在する金額を全部書き出して把握します。30年後に家族が笑顔で居られるか否かを予測する為のライフプランを設計する時にも、とても重要なデータになります。

2.次に、この「現預金」の中から住宅購入の諸費用と頭金に幾ら使うかを検討します。(ライフプランを参考に、あえて頭金には廻さずに、生活資金として残すという選択もあります。)注文住宅は「予算オーバー」という落とし穴に注意が必要です。「予算オーバー」はしたくないものですが、臨機応変に対応する為にも現預金を残しておくのは賢い選択です。

3.贈与にて資金援助は得られるのかを両親に聞いてみます。普段はなかなかできない、両親とのお金の話しをしてみます。この際、自分たちだけで頑張り過ぎず、遠慮せずに聞いてみるのも親孝行かも知れません。

4.「住宅ローン」は幾らまで借りられるか、上限を把握します。銀行から幾ら借りられるのかを、年収から計算して把握します。

5.銀行から借りられる上限を知るとともに、「住宅ローン」を自分は幾らまで借りるのか、実際に申込みをする金額を考えます。毎月、住宅ローン返済に廻せる金額から、無理のないローン金額を把握します。この時のポイントは年収から考えずに、毎月の資金繰りから考えることです。

6.「住宅ローン」の借入れ条件を検討する。複数の金融機関の住宅ローンを比較検討します。金利や取扱い手数料は低い方が良いですね。

ポイントは具体的な物件探しをする前に「資金計画」をスタートすることです。あなたが用意できる「お金」と、あなたが無理なく返済できる「住宅ローン」の金額を算出し、その後で自分の予算に合った家探しを開始します。

例えば、住宅購入に使える「現預金」が1000万円。無理のない返済計画として借りる「住宅ローン」が3500万円。という事になれば、「土地代」+「建築費用」+「諸費用」の合計額が4500万円以内に収まるように、家探し(土地探し)をスタートすることになります。ただし、次の2つの視点も合わせて考える必要があります。


支払の視点(2つ目の視点)


各業者さんへは「いつ」「幾ら」支払いますか?

各業者さんへは「いつ」「幾ら」支払いますか?

新築マンションや建売住宅の購入であれば、売り主に支払うタイミングは物件を引き渡し時の一度(手付金の支払いも考えると二度になりますが)です。しかし、土地を購入して住宅を建築する注文住宅建築の場合や中古住宅を買ってリノベーションする場合には、数回にわたる場合が一般的です。

数回に分けて支払うのですから、その都度お金を支払えるように、準備が必要です。つまり、住宅ローンを銀行から借りるにしても、都度支払いに対応できるようにスケジュール管理が必要になります。(以下は一例です、売り主側の条件によって支払う回数は異なります)

ここでいう「支払」とは、住宅ローンの返済ではなく、売り主や各種業者への支払いを言います。

1.土地購入申込み時[土地手付金]
2.土地購入時[土地決済金]
3.工事請負契約時[着手金(工事代金の10%)]
4.工事中間時(上棟時)[中間金(工事代金の40%)]
5.完成引き渡し時[建物決済金(工事代金の残金)]
6.住宅ローン申込みの諸費用
7.火災保険の保険料、登記費用
8.引っ越し代
9.外構工事代(本体工事と別になっているケースが多い)
10.不動産取得税


あなたが住宅ローンを借りようと思っている金融機関が、上記の「5」の完成引き渡し時のみの住宅ローン融資だったら、土地の購入資金や工事代金の中間金はどうやって支払いますか?

つまり、住宅ローンを分割で融資してくれる金融機関、もしくは「2」の段階で全額融資してくれる金融機関に住宅ローンの申し込みをするべきという事になります。または、「つなぎ融資」の検討が必要です。

「つなぎ融資」とは、住宅ローンの融資が間に合わない場合に「間をつなぐ資金」が必要になります。その融資を「つなぎ融資」といいます。「つなぎ融資」が発生すると、この「つなぎ融資」の為の手数料や利息の支払いが発生します。

返済の視点(3つ目の視点)

新居へ引っ越した後に支払うお金とタイミングについてです。あなたが老後破産とならない為にも、返済についてまで考えることが本当の「資金計画」なのですが、住宅購入時に、「返済の視点」まで考えていない人が多いと感じます。

住宅ローンとは30年や35年といった長期のお付き合いになります。そこで、これからの数十年間の人生に起こり得る次の内容を、金額ベースで“住宅購入前”に考えておく必要があります。

1.毎月の住宅ローン返済と金利上昇した場合の備え
2.繰り上げ返済計画(その為の蓄え)
3.修繕、リフォーム計画(その為の蓄え)
4.子供の教育費、学習塾の支払い計画(その為の蓄え)
5.老後の生活費の為の計画(その為の蓄え)
6.固定資産税、不動産取得税等の納税

繰上げ返済の計画ですが、退職金はあてにしないほうが良いでしょう。これからの時代、支給されるのか不確定です。支給されたとしても、老後の生活を豊かに過ごすための資金に取っておきましょう。
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