Point1 間取りを考える際に、住まい全体として考える
住まい快適性を左右する要素のひとつである窓には、さまざまな役割や機能が求められます。明るい光を取り入れ、住まいに新鮮な風を通し、眺めを楽しむことはもちろん、熱の出入りを防ぐことや設置場所によっては外からの侵入を遮ることなどを検討する必要もあるでしょう。同時に、外観デザインやインテリア空間にも影響を及ぼすアイテムであることは言うまでもありません。そのため、窓の配置や窓サッシを選ぶ選ぶタイミングは、間取りを検討するのと同時に進めること。それぞれの窓が求められる役割を明確にして、家全体の空間構成を考慮しながら検討することが大切でしょう。
外とのつながりにも配慮して。フレームなどの存在感を感じさせないタイプを選べば開放感のある空間に。[ワイドスライディング 三枚連動片引き窓+全開放引込み窓] YKK AP
Point2 敷地や周辺環境、間取りに適したプランで採光を確保
窓のプランニング際に、まず考えたいのは採光でしょう。たっぷりと光を取り入れるためには、むやみに窓を多く取ったり大きな窓を設ければいいというものではありません。空間のつくりを検討する中で、効果的な採光を得られるように配慮することが重要です。そのためには、敷地の形状や周辺環境、季節による太陽の動きなどを把握して、環境に合わせた窓を、効果的に配すること。敷地条件にもよりますが、たとえば、密集地であれば、ハイサイドライト(高窓)やトップライト、床面近くに低めの窓などを取り入れても。プライバシーを確保しつつ採光を得ることができるように配慮することがポイントです。
Point3 効率のよい通風や換気計画で、風の流れる住まいに
空間のつくりや使い方に合わせて窓計画を。スタイルだけでなく性能にも配慮したい。[エルスターS] LIXIL
自然の風を上手に取り入れるためには、まず、敷地の風向をチェックすること。季節による違いも把握しておきたいものです。その上で、効果的に風を取り入れるための基本である、風の入口と出口を確保することがポイント。入口と出口である、ふたつの窓は、風が流れやすいように、部屋の対面に設けるといいでしょう。また、上下に開口部を設けることでも風は通り抜けやすくなります。暖かい空気は上部の開口部から抜けるので、天井近くに設けた窓やトップライトなども効果的です。
Point4 日々の暮らしの中で窓からの眺めを楽しむ
日々の暮らしの中では、窓からの眺めも楽しみたいもの。敷地周辺のどのような景色を取り込むことができるか、季節の移り変わり、プライバシーへの配慮なども含めて検討することが大切です。また、窓の形状や大きさ、設置する位置によって見える景色も変わるもの。ソファに座って眺めるのか、畳に座って楽しむのかなど、空間の使い方に合わせたプランニングを。植栽を含めたガーデンプランと同時に考えてもいいでしょう。Point5 間取りや空間スペースに合わせた形状の窓のスタイルを
窓サッシ形状は多種多様。引き違い窓や上げ下げ窓、内倒し窓や滑り出し窓。出窓やルーバー窓、トップライトなど、各メーカーから豊富な商品が提案されているので、間取りや空間、使い勝手に合わせて自由に選ぶことが可能です。最近では、リビングなどに適する広い開口部を取ることのできる窓、いくつか並べることで外観デザインのポイントにもなる細めの長方形のもの、小型の丸型や正方形のデザインもみられます。小型やスリムなものであれば、プライバシーを保ちつつ採光や通風を確保することができるでしょう。
その他、上部からの光や風を確保するためには、トップライトも効果的。壁面に設ける窓よりも効率のよい採光を得ることが可能なので、リビングや階段の吹き抜け、北側の居室や廊下などに向いています。
Point6 外観やエクステリアのデザインとコーディネートも
断熱、採光、デザインなどの性能を高めた高性能樹脂窓を外観デザインにあわせ、すっきりと配置プラン。[エルスターS] LIXIL
商品や素材によっては、サッシ枠の色も多様なものが揃っています。外壁の色、玄関ドアや門扉、フェンスなどとのバランスに配慮して、外まわりをトータルに考え、コーディネートすることが大切です。
Point7 カーテンやブラインドなどのデザインも配慮して選ぶ
空間の使い方にもよりますが、窓には多くの場合、カーテンやブラインドなどの窓装飾を設置するものです。室内のインテリアとしてもポイントとなる窓装飾は、窓のスタイルや開閉方法、配置する位置などによって、種類やデザインも変わってきます。窓のプランニングの際には、どのような窓装飾とするのか、あらかじめイメージしておくことも大切でしょう。Point8 地域に適した断熱性能を持つ窓サッシとガラスを
窓などの開口部からは熱が多く出入りするので、快適な暮らしを実現するためには、地域に適した断熱性能を持つ窓サッシやガラスを選ぶことは重要です。窓サッシの素材には、アルミや樹脂、木などが挙げられます。アルミは、強度もあり、耐候性や防火性に優れた素材ですが、熱伝導率が高いため、断熱性にやや劣るのが短所。樹脂は、熱伝導率が低く、断熱性に優れる材質。木製サッシは、質感や風合いが魅力でしょう。その他、室外側にアルミ、室内側は樹脂とするなど、それぞれの素材のよさを取り入れた複合サッシもみられます。
また、サッシに組み込まれるガラスによって窓の性能は大きく異なります。多く用いられているのが、2枚または3枚のガラスの間に、乾燥した空気の層を封入することで断熱性を高めた「複層ガラス」。「高断熱複層ガラス」「遮熱複層ガラス」などもみられます。予算やプランなどにもよりますが、地域に適した性能を持つ素材やガラスを取り入れ、できる限り断熱性能を高めた住まいとしたいものです。
一般的に防火窓で採用されている網入ガラスではなく、網目のない耐熱強化複層ガラス(Low-E)を採用。眺望だけでなく、インテリアの雰囲気もアップ。[APW330防火窓 耐熱強化複層ガラス仕様] YKK AP
Point9 防火地域など法規に適した窓を選ぶことが基本
窓のプランニングには、法規上、配慮しなければならないケースもあります。たとえば、防火地域や準防火地域では、防火戸(窓やドア)を使用しなければならない開口部もあり、大都市圏などでは、注意が必要でしょう。最近では、防火性能、断熱性能を高め、狭小地における住環境を考慮した戸建て住宅に対応する樹脂製の防火窓もみられるようになり、選択の幅も広がっています。
Point10.設置する場所によっては防犯性能を高めたい
窓を閉めたままでも室内からボタン1つで静かに開閉、不快な外気や虫も入らない。[リモコンシャッター] YKK AP
採光や通風は重要ですが、周辺環境や設置場所によっては、防犯面にも配慮が必要でしょう。窓サッシに用いるガラスには、防犯ガラス(合わせガラスのひとつ)と呼ばれるタイプもあります。2枚以上のガラスの間に、厚く強靭なフィルムの中間膜をはさんで加熱・圧着させたもので、突き破るのに時間がかかるものです。また、面格子を設置したり、窓シャッターや雨戸付きの窓を選ぶのもいいでしょう。
窓のプランニングは専門的なことも多く、実際の家づくりの中では、設計担当者から提案されたものを確認していく、というケースの方が多いかもしれません。打ち合わせの際には、上記のポイントとわが家の優先順位なども含めて、さまざまな角度から検討、確認することをおすすめします。
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