皮膚の「できもの」……主な種類と症例写真
気になる皮膚のできもの…病院に行くべき?
皮膚の「できもの」には実に様々なものがあり、ほくろのようによくあるものから、世界でも数例しか報告のないような「できもの」もあります。今回は、よく見かける「できもの」の一部をご紹介します。
<目次>
- ほくろ(母斑細胞性母斑)の症例写真・特徴
- 「青色母斑」の症例写真・特徴
- 「粉瘤」の症例写真・特徴
- 「脂肪腫」の症例写真・特徴
- 「稗粒腫」の症例写真・特徴
- 血管腫・血管奇形の症例写真・特徴
- 「石灰化上皮腫」の特徴
- 「皮様嚢腫」の症例写真・特徴
ほくろ(母斑細胞性母斑)の症例写真・特徴
いわゆる「ほくろ」は「母斑細胞性母斑」という名前のできもので、身体を探せば数カ所はあると思います。褐色~黒色、時に正常皮膚色の色素斑または腫瘤で、平たいものから盛り上がったもの、毛の生えたものなどがあります。大きさも様々で、ほくろと呼ばれる小さなものから、黒あざと呼ばれる大きいものもあります。「青色母斑」の症例写真・特徴
「青色母斑」は直径1センチメートル以下の小さな結節で、病名の通り青色または青黒色をしています。真皮と呼ばれる皮膚表面より少し深いところにメラノサイト(色素細胞)が集まっているため、黒色や茶色ではなく、青く見えます。手足の甲や顔などに出来ることが多く、悪性化することもあるので切除することが多いです。「粉瘤」の症例写真・特徴
「粉瘤」はとても頻度の高い良性皮膚腫瘍です。表皮嚢腫と呼ばれる袋状のできもので、中は白くドロドロとしたお粥状の物質で満たされており、臭いがあります。徐々に大きくなり、しばしば化膿するため早めの治療をお勧めします。頭の先から足の裏までどこにでも出来ます。「脂肪腫」の症例写真・特徴
「脂肪腫」は脂肪細胞から出来る良性のできもので、1センチメートル程度の小さなものから、10センチメートル以上ある大きなものまでサイズは様々です。皮下組織にあり、柔らかいできものです。首・肩・背中などに出来易く、小さなうちは自覚症状もありませんが、徐々に大きくなるので手術を行います。「稗粒腫」の症例写真・特徴
「稗粒腫」(はいりゅうしゅ)は直径1~2ミリメートル程の小さく硬いできもので、白から黄白色。表皮のすぐ下にあるので皮膚から透けて見えます。内容物は真珠のように丸くコロッとした角質です。目の周りにポツポツと出来ることが多く、次いで頬部、陰茎・陰部などです。赤ちゃんは自然に消えることもありますが、成人は自然にとれることはありません。血管腫・血管奇形の症例写真・特徴
「血管腫」というと、幼児期において最も多い腫瘍である「乳児血管腫(いちご状血管腫)」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。小さなものは年齢とともに消退していくことが多いですが、生命や機能に重大な問題が起こる可能性があるものや、部位・大きさ・症状などが問題となるようなものは治療が必要です。高血圧や心疾患に使われているプロプラノロールという薬が乳児血管腫に有効であることが報告されて以来、現在では乳児血管腫の第一選択の治療とされる他、ステロイドなどの薬物療法、手術、レーザー、冷凍凝固、持続圧迫、塞栓療法、放射線療法などの治療法があります。血管腫、血管奇形に分類されるものは多岐に渡り、治療法もそれぞれ異なります。これらの治療に習熟された医師への早めの受診をお勧めします。
「石灰化上皮腫」の特徴
幼少児の顔、首、上肢に出来易く、皮膚の下に硬く触れます。大きさは通常3~4センチメートルまでのものが多く、皮膚表面は常色または、青白く見えます。時に押すと痛みがあります。治療は手術です。「皮様嚢腫」の症例写真・特徴
顔の骨はたくさんのパーツから出来上がっているのですが、お母さんのお腹の中で、赤ちゃんの顔の骨が組み合わさる時に皮膚が入り込んでできるとされるできもので、柔らかく1~4センチメートル程度の大きさです。眉毛の外側に出来ることが多く、先ほどの理由で生まれたときから存在します。【参考資料】
- あたらしい皮膚科学 著者:清水宏 中山書店
- 皮膚病アトラス 著者:西山茂夫 文光堂
- 血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン 2022