酒さとは……鼻・頬中心の赤みやニキビのような赤いブツブツ

酒さ・赤ら顔の症例写真

顔がほてったように赤く見える「酒さ」は、皮膚の病気の一つです

「酒さ(しゅさ)」は、顔がほてったように赤く見える「赤ら顔」の原因として、代表的な皮膚の病気です。英語では「rosacea」と言います。見た目の赤さ以外には軽い刺激感がある程度のことが多いので、病気だとは思わず、長い間悩んでいる方もいます。

鼻・頬・顎を中心に赤みが左右対称に出現するタイプと、ニキビのような赤いブツブツが現れるタイプに大きく分かれますが、両方が同時に出現することも多いです。顔の表面の細かい血管が拡張し、その周りに炎症が起こることで赤ら顔になり、また毛穴の周りも炎症を起こすとブツブツができます。

酒さの症例画像・写真

■血管拡張性の酒さ画像
血管拡張性の酒さ画像

鼻、頬を中心に赤みが目立つ、酒さの典型的な症状


■ブツブツができるタイプの酒さ画像
丘疹タイプの酒さ画像

頬、顎にニキビのような赤いボツボツが多発している。赤ら顔だけでなく、このタイプの酒さも多い。


酒さの原因……紫外線、ストレス、運動、暑さなど

酒さは、紫外線、辛い食べ物、ストレス、運動、暑さなどが原因で、顔の赤さが悪化することが知られています。ただ、なぜ顔の表面の血管が開いてしまうのか、血管や毛穴の周りに炎症が起きてしまうのかという根本的な原因ははっきりとはわかっていません。

酒さは白人に多いので、遺伝的な原因や日光の影響(白人は紫外線を吸収するメラニンが少ないために日光のダメージを受けやすい)があるのは間違いないでしょう。他には皮膚表面の免疫の異常で炎症が起きる可能性や、デモデックス(Demodex)という毛穴に生息するダニが原因になっている可能性が指摘されています。

酒さの治療法・完治させる方法……塗り薬・飲み薬

酒さは見た目と軽度の刺激感以外、大きな問題を起こさないのですが、年中赤ら顔であることに悩む人は多く、精神的なダメージは非常に大きいことは診療を通して感じてきました。酒さを持つ人ではうつ病が5倍ほどに増えるというデータもあります。

酒さの治療ではまず保険適応の塗り薬と飲み薬、生活習慣の改善、日焼け止めや保湿剤といった市販薬を組み合わせて対処します。海外ではここ5年ほどで多くの薬が開発され処方されてきましたが、日本では認可されていないために使えないという問題があります。

酒さには、血管が開いて赤みが出る症状と、毛穴が炎症を起こしてブツブツになる症状の2つがあるので、それぞれにわかれた治療が必要になります。赤いブツブツの症状にはニキビの治療が有効ですが、赤みには塗り薬や飲み薬が効きにくいので、レーザーやフォトフェイシャル(IPL, intense pulsed light)を検討する必要があります。

酒さ改善法…悪習慣は避ける・市販の日焼け止めや保湿剤も活用

まずは、前の項目でも触れた紫外線、辛い食べ物、精神的ストレス、暑さといった酒さを悪化させる習慣を避けるように注意しましょう。

そして、クリニックを受診せずに市販品でできる対処として、以下の2点が挙げられます。

  1. 日焼け止めで日光による影響を避けること
  2. 保湿剤を塗って皮膚を保護すること

紫外線は酒さを悪化させる最大の原因になります。また、酒さの皮膚は乾燥しやすいことが知られているので、保湿剤を塗ることは有効です。この2つを毎日心がけることが自分でできる最初の対策になります。

スキンケア

日焼け止めと保湿剤で毎日ケアすることが酒さの症状改善に有効


酒さ治療に使われる塗り薬

アメリカでは塗り薬としてメトロニダゾールという抗菌薬、アゼライン酸という炎症を抑える薬が認可されて以前から使われてきました。さらに、ここ5年ほどで血管を収縮させて顔の赤みを抑えるbrimonidineという薬、酒さの原因のデモデックスというダニを殺す作用があるイベルメクチン(ivermectin)の塗り薬が認可されました。

イベルメクチンは日本人がノーベル賞をとったことでも話題になりましたが、この薬が今は酒さの塗り薬としても使われているのです。ところが、これらはいずれも日本では処方薬として認可されていません。

ぬり薬

アメリカで認可されている酒さのぬり薬のほとんどは、日本では処方することができない


一部の病院では自費で販売されているメトロニダゾール、ロート製薬からクリニック限定販売で製造されているアゼライン酸は入手可能なこともありますが、一般には入手困難です。

このアゼライン酸は天然由来の成分であり、軽度の刺激感以外に副作用もなく、もし近くのクリニックで手に入るのであればいい製品です。酒さのブツブツだけでなく、シミにも効果があります。

毛穴が炎症を起こしブツブツが出るという酒さの症状がニキビと似ていて、実際に区別が難しい場合があります。アダパレンが成分のディフェリンという塗り薬、過酸化ベンゾイルが成分のベピオという塗り薬、抗生剤の塗り薬はいずれもニキビに保険適応の治療薬ですが、酒さのブツブツにも効果があります。

酒さによる赤みには残念ながら選択肢が少ないです。タクロリムスが成分のプロトピックというアトピー性皮膚炎の塗り薬を処方することがあり、炎症による酒さの赤みが改善します。ただし、プロトピックを塗らなくなると症状が戻ってしまいますし、長期使用すると逆に酒さが悪化することがあり、酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)とも呼ばれています。そのため、酒さの赤みにプロトピックを使用することがあれば、短期に限った方がよいでしょう。

補足ですが、湿疹やアトピー性皮膚炎によく使われるステロイドの塗り薬は酒さを悪化させるので避けなければなりません。湿疹と紛らわしい酒さもありますので、注意してください。

酒さを治療する飲み薬は?

ビブラマイシン(成分はドキシサイクリン)という抗菌薬に炎症を抑える効果があり、こちらがアメリカでは正式に酒さの治療薬として認可されています(日本でも酒さに適応はないものの、処方自体は可能です)。酒さの赤いブツブツに対する効果は高いのでオススメできます。ブツブツがなくなるまで、3ヶ月程度長めに飲むこともあります。ただし、顔の赤み自体にはあまり効果がないです。

ビブラマイシン

飲み薬のビブラマイシンには炎症を抑える作用があり、酒さによる赤いブツブツや黄色く膿をもった症状に効く

 

赤ら顔・血管拡張改善に有効なレーザー治療

酒さによる鼻や頬の赤みが目立つ赤ら顔、血管が拡張してできたチリチリした表面に浮き出た赤い線が浮き出る「毛細血管拡張」は、塗り薬や飲み薬では大きな改善が望めないのが現状です。このような場合には血管の赤みに反応するレーザーが有効です。パルスダイレーザー(pulsed dye laser)、ヤグレーザー(Nd:YAG laser)の2種類があり、いずれも酒さの赤ら顔や毛細血管拡張に効果がありますが、より一般的に使われているのはパルスダイレーザーになります。パルスダイレーザーのVbeamやCynergyで行われる施術の一部は保険適応になることがあります。

また、レーザーよりも広い波長をもつ光を当てるフォトフェイシャル(IPL, intense pulsed light)も赤ら顔や毛細血管拡張に効きます。フォトフェイシャルというとシミに効く、というイメージをお持ちだと思いますが、顔の赤みや小じわにも効果があります。ICONといった赤みに強く反応するフォトフェイシャルの器械ではレーザーと同等の効果があると報告されています(『A Retrospective Study on Efficacy of Pulsed Dye Laser and Intense Pulsed Light for the Treatment of Facial Telangiectasia.』(英語))。

赤ら顔・酒さに対する効果的な治療法のまとめ

日焼け止めと保湿剤を毎日塗り、日光、辛い食べ物、精神的ストレスを避けることが、自分でできる酒さ対策として有効です。海外で認可されている多くの薬が日本では処方不可能なため、酒さによるブツブツを治療するためにはニキビの塗り薬、炎症を抑える抗生剤の飲み薬をうまく組み合わせて治療していくことになります。塗り薬や飲み薬が効きにくい、顔の赤みがメインのタイプの酒さには、レーザー治療やフォトフェイシャル(IPL)が有効です。自費診療になることが多いですが検討の価値はあるでしょう。
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