ガイドメールマガジン第7号で「スナップ写真を用いた診断」についてご紹介しましたが、ご覧いただけましたか? 医学的にも視診という言葉があるように、その人の「見た感じ」は健康情報の1つです。特に顔というのは他者が受ける第一印象に直結するだけでなく、健康状態を確認するための視診を行う上で大切な部分です。今回は特徴的な顔貌(がんぼう)のある病気、特に50代から注意したい病気についてご紹介します。


病は顔に表れる? 健やかな50代の表情とは

うつ
健康状態はすぐに顔に出てしまいます。今日のあなたはどんな表情をしていますか?
顔は目・耳・口など様々な部分から成り立っていますが、やはり実際には全体像、いわゆる表情から得られる健康情報は思いのほか多いものです。現実的に視診だけで診断に結びつくことはほとんどありませんが、例えばやせ具合、顔色(血の気)、目の動き(眼光)などから、一見して「かなり具合が悪そう」という判断に結びつくことがあります。特に50代からは、自覚症状では気づかれていない慢性的な病気の影響が顔に出ていることもあります。

ところで、「診断はともかく、具合の悪さなら私でもわかりそうです」……というご意見がありませんか? まさしくその通りです。実際の重症度はともかくとして、医学的な知識の有無に関わらず、一般の方でも「具合の悪さ」は見た目で判断できそうですね。立場を変えれば、あなたの表情も健康情報を周りに発信しているということです。

つまり、健やかな表情というのは、日常生活での普段の表情そのものです。風邪をひいたときや飲みすぎたときなど、いつもより体調が悪いかな、という時に鏡をみてください。いつもと違う状態と比べることで、あなたの持つ健やかな表情がおわかりになると思います。それでは、実際の臨床医がどのように視診を行うのか、少し医学的な内容についても簡単にご紹介します。


目は口ほどにものを言う

さて、実際に医療機関で診察を受ける場合、目を上にしたり下にしたりという診察をされたことがあると思います。これは何を見ているのかというと、目の動きや充血の度合い、触れたときの肌の感触(発汗・乾燥)も含めて、様々な健康情報を確認しているのです。また、眼の結膜は毛細血管を肉眼的に確認することができる部分ですから、まぶたの裏(眼瞼結膜)で貧血の有無を、眼球の上部(眼球結膜)で黄疸の有無を確認することができます。

貧血・黄疸の所見有無に関しては、医師の経験によるところが大きいのですが、おおまかな数値で表すと、貧血ではヘモグロビンが10g/dL以下、黄疸ではビリルビン濃度が2.0~3.0mg/dL以上あれば結膜が白っぽくなったり(蒼白化)、黄色っぽくなったり(顕性黄疸)という変化がみられます。

試しにアカンベーとして下まぶたの裏にある結膜を鏡に映してみてください。誰か他の人と比べるとわかりやすいのですが、もしかして白っぽくなっていませんか? 眼瞼結膜に貧血の所見(視診)があって、便が黒っぽい(問診)ということで、胃潰瘍・出血などの消化器疾患が見つかることも時々あります(注意:眼瞼結膜の蒼白化には個人差がありますので、視診だけでは必ずしも断定することはできません。あくまでも参考所見としてお考えください)。


ちなみに、先日テレビを見ていたときに、某選挙立候補者の方が映ったのですが、「あれ、黄疸が出てる?」と思ったことがあります。その方はやはり数週間後に肝臓疾患で緊急入院となり立候補を断念されたそうです。テレビでわかるぐらいの黄疸は高度なことが多く、実際に診療にあたる医師・看護師にとっては一目瞭然なのですが、ご本人は病気に気がついていらっしゃらなかったのかもしれません。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれているように病状が進行するまで症状が出ないことも多いのですが、このように表情・顔色から病気の存在が疑われることもあります。


次のページでは特徴的な顔ぼうについてご紹介します。