虫刺されが原因で起こる、痒み・痛み・腫れなどの症状

脚のイメージ

痒みや腫れが出る虫刺され。腫れが強いと自然に治るまでに時間がかかり、黒っぽい色素沈着で跡が残ってしまうこともあります

公園やキャンプなどでのアウトドアではもちろん、普通の通勤路や室内でも虫に刺されやすい季節。軽い症状でも、赤い腫れや痒みが続くのはつらいものです。蚊に刺されて赤く腫れてしまったと皮膚科を受診されるケースが最も多いですが、虫刺されの原因となる虫は、ダニ、ブヨ、アリ、ハチ、毛虫など様々です。

刺された時にチクっとした痛みを感じることもありますが、気づかないうちに赤く腫れ、痒みが出てから虫刺されに気づく場合もあります。虫刺されの腫れの場合、腫れの中心に虫の差し口である小さな穴があり、やや紫がかって盛り上がっているものや、中央がじゅくじゅくしたりカサブタがついたりしているものが多いです。

虫刺されの症例画像……湿疹・蕁麻疹との違い・見分け方

虫刺されを湿疹などと間違える方もいますが、見分け方は難しくありません。湿疹は平坦でがさがさしているのに対し、虫刺されは中心がやや盛り上がって腫れ、触ってもがさがさしないことがほとんどです。以下で実際の症例写真を見較べてみましょう。

■湿疹の症例画像
湿疹の症例画像・写真

湿疹の場合は全体的に平坦で、表面ががさがさしていることが多いです


■虫刺されの症例画像
虫刺されの症例画像・写真

典型的な虫刺されの症例画像。中央が紫っぽくなったり水ぶくれのようになったりし、周りが赤く腫れます


また、蕁麻疹と間違えてしまうケースもあるようですが、蕁麻疹は数時間単位で場所が移動します。最初に出たところから赤みの位置が変わらず、数日間残るような場合は、虫刺されと判断できます。

■蕁麻疹の症例画像・写真
じんましんの症例画像・写真

子どもの腕に出た蕁麻疹の症例画像。虫刺されの症状と似ていますが、数時間単位で出たり消えたりするのが特徴。見た目は虫刺されと似ていても、より多発しているのが分かります
 

 

 

虫刺されの種類……ハチ、ブヨ、蚊、ダニ、アリは判別困難

虫刺されの患者さんの診察中によく受ける質問に、「この虫刺されは何の虫によるものでしょうか?」というものがあります。

虫に刺されると唾液などの虫の成分が皮膚の中に入りアレルギー反応を起こすため、赤くなり、痒くなる反応が起きます。刺した虫を実際に見た場合は特定が簡単ですが、上記の反応は基本的にどの虫に刺されても同じなので、症状だけを見てどの虫が原因かを特定するのはほぼ不可能です。症状が出た状況で判断するしかありません。

ハチに刺された場合は、反応が強く表れて痛みが強い場合が多いです。屋外のキャンプ、アウトドアの後で症状が出た場合はブヨや蚊による虫刺されのケースが多いですし、家で寝て起きたら症状が出ていたという場合は、ダニやアリが原因の可能性が考えられます。

虫刺されの中でも特徴的な症状が出るのは、毛虫による虫刺されです。公園や庭の木に毛虫がいるので毛虫自体が付着した場合はもちろん、毛虫の毛や毒針が風で飛ばされて付着しただけでもアレルギー反応が起きることがあります。その場合は、通常の大きく赤く腫れる虫刺されではなく、小さな点がポツポツと一箇所にまとまった出方をして非常に痒いので、毛虫に限っては症状を見ればすぐにわかります。

虫刺されの跡を残さない対処法・皮膚科受診での治療法

虫刺されの症状が軽く、小さく赤く腫れている程度で痒みも少ない場合は、何もしなくても5日ほどすれば自然に赤みがひきます。もしも痒みが強ければ、服やガーゼ越しにアイスノンや氷水を使って冷やすと痒みが落ち着きます。症状がごく軽ければ自然治癒を待つのもよいかもしれませんが、皮膚科で治療した方がより早く治り、跡が残る確率は減らすことができます。もし症状が強い場合は、赤みも自然には治まらず、さらに悪化してしまうこともありますので、皮膚科を受診しましょう。

皮膚科で行う虫刺されの治療法は、ステロイドの塗り薬を塗ることが一般的です。市販薬には通常炎症を抑える作用のあるステロイドは含まれておらず、含まれていても効果の低いものです。皮膚科では、炎症、痒みが強い場合、大人の場合は一番強いステロイドの塗り薬をよく使います。数日間塗り薬を塗れば、赤みと腫れが治まります。子どもの場合は皮膚が薄いので、少し弱めのものを使うことが通常です。「強い」と聞くと心配に感じるかもしれませんが、ステロイドは2週間程度なら毎日塗っても副作用はほぼありませんので、不安になる必要はありません。たかが虫刺されと放置しておくと、なかなか改善していない場合もありますし、赤い反応が残る期間が長いほど跡が残って皮膚が黒ずんでしまうリスクも増えます。

また、足首をブヨに刺された場合に多いのですが、夏にキャンプや旅行に行き、足首がパンパンに腫れて受診される方がかなりの人数いらっしゃいます。足首が腫れると歩くのも痛いという状態が3日ほど続きますが、これは細菌が入ったというよりも虫の成分に対するアレルギー反応のことがほとんどです。このような場合は塗り薬だけでなく、飲み薬のステロイドも3日ほど飲むと早めに腫れが治まります。

もしもハチに刺された場合、特に2回目に刺された場合には、まれに強いアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こして、血圧低下や呼吸困難などの重たい症状が出ることがあります。ハチに刺された後で体調に異変を感じた場合は、すぐに救急外来を受診しましょう。

虫刺され後、掻きこわしによる「とびひ」の症例画像・写真

また、特に子どもの虫刺されに多いのですが、虫刺されを掻きこわしてしまうことでキズになり、キズ表面に細菌がつくことで、「とびひ」になってしまうこともあります。

■とびひの症例画像・写真
とびひの症例写真・画像

痒い虫刺されを掻きこわしてしまうと、じゅくじゅくしたりかさぶたが増えたりして細菌が感染し、とびひの状態になることがあります


とびひになるとステロイドの塗り薬だけでは治せません。抗生剤の飲み薬が必要になります。そうならないためにも、掻きこわしてしまう前の段階で、早めにステロイドの塗り薬で虫刺されに対処するのがよいでしょう。

虫刺され跡の黒い色素沈着を消したい場合の対処法

虫刺されの跡が黒く残ってしまった経験がある方も多いと思いますが、これは赤い炎症が長引いてしまったり、かき壊して傷になってしまったことによるメラニンの色素沈着です。

通常、数ヶ月程度すれば黒っぽい色は自然に抜けていきますが、時間がかかります。跡を残さないためには早めに皮膚科を受診して早めに治すことが最も大切です。メラニン生成を抑えるハイドロキノンや、メラニンを外に出す作用のあるトレチノインの塗り薬を使うと、虫刺されの跡にできたシミが消えるのを早めることができます。

まとめ……軽度なら冷やして様子見・病院受診は皮膚科を

ありがちな症状である「虫刺され」ですが、適切な対処法を知っていれば早く治療することができますし、虫刺されの跡の色素沈着も予防できます。まずは症状がごく軽く、狭い範囲の赤みであれば、冷やして痒みを抑え、かかないように気をつけること。症状がひどかったり、なかなか治りそうにないものは、皮膚科を受診すれば虫刺されの炎症を抑える強めのステロイドの塗り薬をはじめ、適切な治療が受けられますので、市販薬で対処するよりも早めの受診を心がけましょう。
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