蕁麻疹とは……湿疹・虫刺されとの違い・見分け方

痒みのイメージ

体に痒みのある赤い発疹が出る蕁麻疹。発疹が全身に広がることもあります

全身のアレルギー反応が原因で起こる、蕁麻疹(じんましん)。体の一部に痒みを伴う赤い発疹が出ます。発疹が身体全身に広がることもあります。「湿疹」と違い、触ってもがさがさしておらず、また普通は1日の中で発疹の出る場所が移り、出たり消えたりするのが特徴です。

また、「虫刺され」による赤くぷくっとした発疹を蕁麻疹と間違えることもあるようですが、虫刺されは狭い範囲に発疹が出て、場所が移動せず、同じところに出続ける点で蕁麻疹と区別できます。

蕁麻疹の症例画像・写真

蕁麻疹にはただ赤みが出るだけではなく、いくつかのタイプがあります。実際の写真を見てみましょう。

■虫刺されのような蕁麻疹の症例写真
子どもの蕁麻疹の写真

虫刺されのような蕁麻疹が全身に出た症例

ぷくっとした発疹が全身に広がった、小児蕁麻疹の症例。虫刺されのような膨らみのある発疹です。

■環状蕁麻疹の症例写真
環状蕁麻疹の写真

赤い輪のような発疹が出たり消えたりするタイプの蕁麻疹

虫刺されのような膨らみではなく、このうように赤い輪のような発疹が出るタイプもあります。これも蕁麻疹です。

蕁麻疹の原因……9割は原因不明だが食物アレルギーも多い

9割ほどの患者さんでは、何が蕁麻疹を出現させるアレルギーの原因になったのか不明のことが多いです。原因不明で突然出てくる蕁麻疹を、「特発性蕁麻疹」と呼びます。以下で、蕁麻疹の原因と考えられるものの例を挙げます。

■食物アレルギーが原因の蕁麻疹
食物アレルギーが原因の蕁麻疹も多く、この場合は数時間前に原因となる食べ物を食べたことが原因で起こります。子どもの蕁麻疹の原因となる食材としては、卵、牛乳、大豆に対するアレルギーが多く、大人の蕁麻疹の原因となる食材としては、エビ、カニが多いです。

■入浴・飲酒・疲労・ストレスが原因の蕁麻疹
食物とは関係なく、入浴後や飲酒後に毎回赤い発疹が出るという方もいます。これは血流が良くなることで、蕁麻疹の反応が出やすくなるためでしょう。

また、疲れたときやストレスがかかったときに蕁麻疹が出る場合もあります。実際に、テスト勉強をする度に発疹が出て、休みになると蕁麻疹の症状が治まるという患者さんを診たことがあります。

■薬(解熱鎮痛薬)が原因の蕁麻疹
薬が原因で蕁麻疹が出ることは比較的まれですが、NSAIDsと呼ばれる系統の薬が含まれる解熱鎮痛薬を飲むと蕁麻疹が出やすくなるので、思い当たる場合はこれを止めるとよくなることもあります。また、薬を飲んで出る発疹の「薬疹」は蕁麻疹と区別が難しい場合がありますので、皮膚科医に診断してもらう必要があります。

急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹の違い

蕁麻疹は、数日ですぐに治まる「急性蕁麻疹」と、6週間以上続き、場合によっては年単位で症状が出たり消えたりする「慢性蕁麻疹」の2つに大きく分けられます。

食べ物などの原因がある場合は、原因がなくなれば症状も治まるので、急性蕁麻疹で済むことが通例です。この場合は症状のあるときだけ飲み薬の治療を行い、症状がなくなれば治療をストップして問題ありません。

一方、慢性蕁麻疹の場合には長期間、原因がはっきりしないにもかかわらず症状が出続けるので、毎日定期的に飲み薬を飲んでおさえる必要があります。特定の原因が疑われる場合には、アレルギーテストを含めて採血を行い検査することもあります。

蕁麻疹の治療の基本は抗ヒスタミン薬……市販薬・処方薬

蕁麻疹の治療の基本は「抗ヒスタミン薬」という飲み薬です。蕁麻疹で赤く盛り上がった発疹が出るのは、「ヒスタミン」という物質が体内で放出されることが原因なので、これを抑えることでアレルギー反応を和らげることができます。

治療の基本は飲み薬ですが、皮膚表面を掻きこわして荒れてしまった場合、炎症を抑えるためのステロイドの塗り薬も効果があります。

■市販薬:処方薬と同成分の薬も
抗ヒスタミン薬の飲み薬は花粉症やアレルギー性鼻炎にも使われ、一部は市販もされています。「アレグラ」や「アレジオン」といった市販薬は処方薬と同じ成分ですので、蕁麻疹に対する効果が期待できます。副作用もごく軽い眠気しかありませんので、ここまでに解説したような症状があり蕁麻疹が疑われるけれども、すぐに病院受診をすることができないような場合、大人ならまず市販薬で対処するのもよい方法です。

市販薬

ドラッグストアで売られているアレグラやアレジオンは処方薬と同じ成分が含まれているので、じんましんに効果が高い


■処方薬:蕁麻疹にも有効な抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬は20種類以上ありますが、蕁麻疹治療に主に使うのは、「クラリチン」「ザイザル」「アレグラ」などの、効果の持続期間が長く、眠気の副作用が少ないタイプの抗ヒスタミン薬です。「デザレックス:「ビラノア」といった最新の抗ヒスタミン薬は特に眠気が少なく、1日1回の内服で効果が持続するため、使いやすい薬と言えるでしょう。
抗ヒスタミン薬の写真

蕁麻疹にはアレルギーを抑える飲み薬である抗ヒスタミン薬が最も効果的。写真は最近発売になった処方薬で、1日1回の内服でよく眠気が少ないタイプ

上記は一例で抗ヒスタミン薬というカテゴリーには多くの薬があります。一番よく効く抗ヒスタミン薬は患者さんによって異なり、この抗ヒスタミン薬を使えば絶対大丈夫、ということはありません。最初に使った薬が効けば一番よいのですが、そうでない時には量を増やしたり、他の薬に変えてみたりして、それぞれに合う薬を探していくことが大切です。どの薬も眠気以外の副作用はほとんどない点で使いやすい薬と言えます。

■処方薬:痒みによる掻きこわしに有効なステロイドの塗り薬
ステロイドの写真

蕁麻疹の痒みが原因で掻きこわして、皮膚表面が荒れてしまった場合、皮膚科で処方されるステロイドの塗り薬が効果的


蕁麻疹治療の基本は抗ヒスタミン薬の飲み薬ですが、掻きこわしがある場合は、このようなステロイドの塗り薬を使用することもあります。

慢性蕁麻疹が治る期間……年単位の治療が必要なことも

蕁麻疹、特に慢性蕁麻疹の場合、抗ヒスタミン薬を毎日飲まなければ赤みのある発疹が出現してしまうことが多いので、毎日定期的に服薬して治療に当たる必要があります。この場合も眠気以外の副作用はほとんどありませんので、大きな心配はありません。なかには年単位で治療を続けている患者さんもいます。

慢性蕁麻疹の場合によく聞かれるのが「この病気は治りますか?」「いつになったら治るのですか?」という質問です。これには明確な答えがなく、抗ヒスタミン薬を数カ月間飲み、止めても症状が出ずに治った人もいれば、5年間内服しているけれども止めるとすぐに症状が出てしまう人もいたりと、様々です。まずは薬を飲んで症状を完全に抑える状態を続け、それから徐々に薬を減量して症状がなければ治療終了とするのがよいでしょう。

治療を焦ると症状がなかなか改善しませんので、自分に合った抗ヒスタミン薬を見つけ、長い目で見て治療していきましょう。幸い内服薬の副作用は軽い眠気以外はほとんどないですので、安心して使うことができます。
 

子どもの蕁麻疹の原因・治療法

冒頭の症例画像でにも挙げた通り、大人と同じように、子どもにも蕁麻疹は起きます。症状は大人と同じで、赤く痒い発疹が全身に出ますが、子どもの場合は一過性の急性蕁麻疹が多く、卵などアレルゲンになる食べ物を取った後や、風邪などをひいて体調が悪い時に出るケースが多いです。特に子どもの場合は、原因がなくなると1~3日で蕁麻疹がひく場合が多いです。中には大人によくみられるように長期間にわたって赤みや痒みが出たり消えたりすることがありますが、その場合も数カ月以上続くことはまれで、たいていは2ヶ月もすると発疹が出なくなります。

治療も大人と同じですが、慢性蕁麻疹になり長期化することは少ないので、抗ヒスタミン薬も症状がある期間のみ飲むことになります。6ヶ月以上症状が続く場合は、子どもの場合は保険内でシロップまたはドライシロップの抗ヒスタミン薬を処方することができます。皮膚科で効果的な治療を受けるのがよいでしょう。

まとめ

蕁麻疹になった場合、治療のメインは抗ヒスタミン薬という飲み薬です。痒みで掻きこわして皮膚が荒れてしまった場合は、皮膚表面の炎症を抑えるステロイドの塗り薬も効果があります。蕁麻疹は長期化する場合もありますが、皮膚科を受診して適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項