盆栽/季節ごとの盆栽の手入れ

盆栽の植え替えのやり方を画像付きで解説!植え替えに適した時期は?

盆栽の「植え替え」は、盆栽が何年も元気に育つ最大の秘訣。何年も放っておくと、盆栽がどんどん弱ってしまいます。さつきや紅葉、黒松にケヤキと盆栽にも様々な種類がありますが、今回は真柏という樹種の植替えをじっくりと、画像付きで紹介します。

山田 香織

執筆者:山田 香織

盆栽ガイド

盆栽の植え替え作業は3年に1度

盆栽の植え替えのやり方・植え替えに適した時期

盆栽の植え替えは3年に一度

盆栽が何年も元気で育つ最大の秘訣は「植替え」という作業にあります。小さな鉢の中の限られた用土で生活している盆栽。放っておくと鉢の中は根が充満して用土を押し流し、やがて用土が固くなり、根が詰まった「根詰まり」という状態になります。

更に放っておくと、水や新鮮な空気が用土に入り込めなくなり、盆栽がどんどん弱ってしまいます。最終的には「根腐れ」といって、元気な根が減り、枯れた根ばかりになってしまいます。すると地上部へ充分な水や養分を送れなくなり、枝がどんどん枯れて、盆栽としての形を維持できなくなります。こうした理由から用土を新しいものに替えて、古い根を切る「植替え」作業が必要になります。

今回は、植替えをじっくりと、多くの画像で紹介します。ぜひ、実践してみてくださいね。最初に紹介した不健康な根の状態を未然に防ぐために、少なくとも3年に一度は植替えをしましょう。
 
<目次>
 

盆栽を植え替える「3つの目的」

1、新しい土に取り替える。
2、古い根を切る。
3、鉢を取り換えて、盆栽の印象を変えることもできる。
 

盆栽の植え替えに適した時期は?

樹種によって差はありますが、大抵の植物はこれから紹介する季節に行って
問題ありません。植替えは時期を誤らないことが大切です!
 

盆栽の植え替えは春に!

→春になり、新しい葉が出る直前の季節。
染井吉野の桜が咲く前が適期。
 

盆栽の植え替え・作業手順

植替え予定の真柏の盆栽

植替え予定の真柏の盆栽

今回植替えするのはこちらの真柏(シンパク)の盆栽。樹齢8年生程度です。例えば、ご自分がこの盆栽を購入したとします。
鉢の中に充満した根

鉢の中に充満した根

購入して2年目の春には植替えしましょう。購入する前のお店でいつ植替えしたものか分かりませんので、購入した後、一番早い春に植替えをするのが理想です。この真柏も根を見るとご覧の通り。根が充満していました。
作業に必要な道具4種類と針金

作業に必要な道具4種類と針金

植替えをするのに必要な道具はこちら。左から、根切りバサミ、竹箸、コテ付ピンセット、やっとこ(盆栽用ペンチ)、1.2ミリの針金 長さ20センチ程度を1本、10センチ程度を1本です。
粒の大きさが異なる2種類の赤玉土

粒の大きさが異なる2種類の赤玉土

真柏の植替えに使う用土は植込み用土(左)が赤玉土極小粒、ゴロ土(右)が赤玉土小粒です。小さな盆栽は鉢が小さいので、土の粒も小さいものを選びましょう。
鉢を水洗いし、再度使います

鉢を水洗いし、再度使います

今回は元の鉢に再度植えます。盆栽は、木のサイズを維持したいので、基本的に鉢を大きくすることは、盆栽のサイズを大きくしたい場合のみです。写真のように、鉢を水洗いしてきれいにし、排水口の網を針金で固定します。はじめに用意しておいた長さ10センチ程度の針金を写真のように2つ輪があるように折り、排水口に差して網を固定しましょう。
根留めの針金を鉢裏から通しているところ

根留めの針金を鉢裏から通しているところ

5で通した網留めの針金は鉢の裏側で180度に折り曲げ、網と鉢を固定します。さらに、用意しておいた長い方の針金を鉢裏から通し、後で真柏の株自体と鉢を固定します。
根留めの針金は縁に引っ掛ける

根留めの針金は縁に引っ掛ける

根留めの針金は写真のように鉢の縁にかけておきます。
ゴロ土を鉢底に敷く

ゴロ土を鉢底に敷く

ゴロ土を鉢底に鉢の深さの5分の1程度敷きます。
ゴロ土の上から植込み用土を入れる

ゴロ土の上から植込み用土を入れる

その上から植込み用土を同じく深さの5分の1程度敷きます。合計で深さの5分の2程度です。
再利用できる苔ははがす

再利用できる苔ははがす

根をほぐす前に真柏についている苔をはがし、再利用します。苔の色が悪い場合は再利用しません。
根鉢の底面の角から箸を入れる

根鉢の底面の角から箸を入れる

根をほぐしますが、その際は根鉢の底面の角の部分から箸を入れ、からまった髪の毛をとかすようにほぐしていきます。
根元に細かい根が多ければ安心して長い根を切れる

根元に細かい根が多ければ安心して長い根を切れる

根がほぐれ、太く長い根の先に細かい根がついている状態でした。 株元に全体の根の分量の3分の1程度が残っていれば問題ありませんので、長い根の先は根切りバサミで切りましょう。
長い根を切って根の更新

長い根を切って根の更新

このように根をすっきりと短くしました。こうして長い根の先を切って、新しい根が伸び出る余白を作ることはとても大切です。
鉢に根鉢を据えて角度の確認

鉢に根鉢を据えて角度の確認

元の鉢に根を整理した真柏を戻します。根を切ったことで鉢と根鉢の間に隙間ができ、新しい用土を入れる余地が生まれました。
植込み用土を鉢と根の隙間に入れます

植込み用土を鉢と根の隙間に入れます

鉢と根鉢の間に植込み用土を竹箸ですき込んでいきます。この時土の入れ方が不十分ですと植え替え後2週間程度で盆栽が弱ってきます。しっかりと根を張れずに、最悪の場合は枯れる原因になりますので、目には見えませんが細かな根と根の間にも土の粒が入るよう箸で万遍なく土の粒を入れましょう。
根留めの針金を両端から引っ張りねじる

根留めの針金を両端から引っ張りねじる

土が入ったら根留めの針金を両端から引っ張って交差させ、針金同士できつくねじります。この時にやっとこという盆栽用のペンチで隙間が無いようにきつくねじります。余った針金の先は切っておきましょう。
水やり後に表土を平らにならす

水やり後に表土を平らにならす

根留めの針金が固定されたら、水をたっぷりやります。植替え時は排水口から出る水が泥水ですので、この水が完全な透明になるまでたっぷりと水をやりましょう。
水をやったらピンセットのコテの部分(平らな部分)で土を平にならし整えます。
苔をはって仕上げます

苔をはって仕上げます

仕上げに最初にはがしておいた色の良い苔をはります。苔は用土にのせるだけでなく、苔の端を用土に軽く差し込むように押さえましょう。苔は上から押しても痛みません。
植替え完了です!

植替え完了です!

苔も張って植替えもされ、心機一転。すっきりした盆栽の姿です。目には見えませんが、これから新しい根(若く活力のある根)の発根が促され、それに伴って地上部も新しい葉を次々に出すでしょう。

以上のような植替え作業を3年に1度は行って、いつまでも元気な盆栽の健康を保ちましょうね。

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