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社会のためにお金を使うクラウドファンディングとは?

皆さんは、何か世の中のためになることをしていますか? 今回は、世の中のための「お金」を使う方法について考えてみたいと思います。その手段として、最近注目されている「クラウドファンディング」も、今年、新たな動きがあり、ますます注目されるでしょう。一足先にチェックしておきましょう。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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若い年代ほど、募金やチャリティーに熱心!?

世の中に役に立つ方法には、どんなものがあるのだろう。

世の中に役に立つ方法には、どんなものがあるのだろう。

皆さんは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役に立ちたいと思っていますか? 内閣府が社会や国に対する国民の基本的意識の動向を毎年調査している「(平成26年度)社会意識に関する世論調査」(平成27年3月23日公表)によると、「社会のために何か役に立ちたいと思っている」と回答した人の割合は66.1%で、「あまり考えていない」と回答した人の割合31.7%を大きく上回りました。

家計環境が厳しくなる中、世の中のことよりも自分たちの生活が第一という、個人志向が強まる中、まだまだ、世の中、捨てたものではないと感じました。


社会への意識「平成26年度社会意識に関する世論調査」(内閣府、平成27年3月23日公表)より

社会への意識「(平成26年度)社会意識に関する世論調査」(内閣府、平成27年3月23日公表)より


「社会のために何か役に立ちたいと思っている」と回答した人に対し、社会への貢献内容について尋ねたところ、「社会福祉に関する活動」(37.5%)、「自然・環境保護に関する活動」(32.8%)、「町内会などの地域活動」(32.2%)、「自主防衛活動や災害援助活動」(28.5%)、「自分の職業を通して」(26.4%)の順で多くなっています。「社会福祉」、「環境」、「地域社会」が、世の中のための貢献活動の三大領域と言えるでしょう。

社会への貢献内容について、詳しく見てみると、なかなか興味深い結果が見られました。20代の人の社会への貢献内容について、多い方から順番に、「社会福祉に関する活動」(33.7%)、「自然・環境保護に関する活動」(30.9%)、ここまでは、全体と変わらないのですが、三番目に多かったのは、「募金活動、チャリティーバザー」(21.8%)で、他の年代の16%前後と比較すると突出して高い割合でした。若い年代と募金活動やチャリティーが、あまり結びつかなかったので、この結果には、正直驚きました。

社会のためにお金を使う方法は?

高齢者や障害を持った方への介護・身の回りのサポートなどの福祉活動、資源回収の協力したり、エコな生活をするといった環境活動は、あまり大げさに考えずに、自分ができることを少しでも生活に取り入れて継続できると良いですね。その一方、普段の生活が忙しくて、なかなかそういった活動に参加できないという人の場合は、寄付や自分の楽しみも兼ねてチャリティーバザーに参加する、つまり、自分の「お金」を世の中に役立てることに使う、という発想の転換があると良いかもしれません。

「お金」を得る(収入を得る)手段として、自らが労働を提供する(働く)という方法と、他人の活動にお金を出して利益を得る(お金に働いてもらう)方法があるのと同様に、世の中の役に立つための手段として、自らが活動に参加する方法と、お金を提供して、活動を支援する方法があるということです。

では、社会のためにお金を使う方法には、どのようなものがあるでしょうか? 代表的なものを挙げてみました。

■寄付
寄付は、お金や財産などの金品を公共のためのさまざまな活動や公共施設、政治団体、宗教などに無償で提供することをいいます。街頭でよくみかける募金活動への募金も、公益事業への寄付ということになります。また、大災害の時の義援金なども寄付になります。寄付には、活動をしている人や施設に直接寄付する方法と、慈善団体などの仲介者に寄付をし、慈善団体が活動者や施設を選ぶという方法があります。国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、特定寄附金を支出した場合には、寄附金控除を受けることができます。全ての寄付が寄附金控除の対象になるわけではないので、注意が必要です。もっとも、寄附金控除が受けられるから寄付をするというものではないと思いますが……。
・関連記事:義援金は、確定申告で寄附金控除しよう!

■ふるさと納税
最近話題に上がっているふるさと納税も、見方を変えれば、特定の地域(都道府県、市町村)を支援することになるので、世の中のためにお金を使っているということができるでしょう。「ふるさと納税」と聞くと、自分が負担する税金(住民税)の納付先を自らが選ぶことができる制度のように思われるかもしれませんが、実際はそうではなく、大雑把にいうと、自治体へ寄付を行い、寄附金控除を受けるという制度です。各自治体では、自分のところへのふるさと納税(寄付)を募るために、地域産品などを寄付者にプレゼントしています。ふるさと納税をすると、地域産品が貰えて、税金も戻ってくるのでお得といわれるのはそのためです。自治体から見ると、自分の自治体への寄付が集まり、地元の特産品のPRにもなるので、一石二鳥です。
・関連記事:ふるさと納税で所得税・住民税が戻る仕組み
・関連サイト:ふるさと納税ポータルサイト

■投資
投資と聞くと、どちらかというと、自分の利益を得るために行うものと考えるのが一般的です。その一方で、例えば、ある会社の株主になるということは、その会社の事業にお金を出資して、事業を支援しているという側面もあります。例えば、環境問題に積極的に取り組んでいる会社と、環境問題はそっちのけで利益を追求する会社があった場合、どちらの会社に投資した方が、社会のために役に立つかは、明白でしょう。積極的に自社のCSR(企業の社会的貢献)活動を行いPRしている企業も多くあります。

経団連では、One1%club(1%クラブ)を1990年に立ち上げ、経常利益の1%以上(法人会員)、可処分所得の1%以上(個人会員)を目安に、社会貢献活動のために拠出することに努める企業および個人を支援しています。アメリカでは、1%クラブ、3%クラブのような、「パーセントクラブ」が存在していて、それにならい設立したそうです。
・関連サイト:経団連1%(ワンパーセント)クラブ

■クラウドファンディング
今まで見てきた投資や寄付(ふるさと納税も含む)は、自治体や比較的大きな企業や団体に対して行うものでした。自分が行いたい社会貢献により近いものを選びたい、あるいは、特定の個人を応援してあげたいという気持ちになるかもしれません。そこで、最近は、「クラウドファンディング」というものが注目されています。

クラウドファンディングとは、不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことをいいます。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、ソーシャルファンディングとも呼ばれています。

>>世のためにお金を使う、注目の「クラウドファンディンング」とは?

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