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行政書士試験の商法・会社法は捨て科目?確実に2問を取る方法

行政書士試験で「捨て科目」の筆頭にあげられる商法・会社法。でも、ちょっと待ってください!基本を押さえれば5問中2問は得点できるんです。今回は受講生が一番嫌いな科目、商法・会社法について解説します。【科目対策:商法・会社法のポイント】

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド

なぜ行政書士受験生は商法・会社法を捨てるのか

行政書士試験の商法・会社法は捨て科目

行政書士試験の商法・会社法は捨て科目か

捨て科目の筆頭にあげられるのがこの商法・会社法です。ただ、再受験の合格者に勝因を尋ねると、「会社法に手が回るようになったので……」と答えが返ってくることがよくあります。やはり捨てるのは得策ではありません。しかし、なぜ受験生はこの科目を捨てるのでしょうか。

その理由は民法と比べるとわかります。民法は配点が76点であるのに対して、商法・会社法は20点です。基礎法学を除けば、法律科目の中で重要性が最も低いのです。そして、配点が低いにも関わらず、条文数は民法と遜色ないほど膨大です。その上、条文の中身は、手続法の性質もあり、民法に比べると細かくわかりにくいのです。

つまり、商法・会社法は勉強効率が悪いのです。そのため、行政法や民法などの主要科目の勉強が進んでいないと、後回しにされ、最後には捨て科目にされてしまうのです。

ただ、合格するためには、この科目で最低2問は得点したいので、その方法をご紹介します。なお、今回は出題の主力である会社法を扱い商法は扱いません。

過去問は一般財団法人行政書士試験研究センターに掲載されています。
 

難関!商法・会社法で確実に2問をとるための方法

配点と勉強時間を考えると大胆な取捨選択が必要です。この科目には初学者を悩ます鬼門があります。前門の虎、後門の狼ならぬ、「前門の機関設計、後門の組織再編」です。しかし、出題頻度がそれほど高い分野ではないので、虎や狼と闘う必要はありません。比較的理解のしやすい、設立、株式、株主総会、取締役会で確実に得点を取るべきです。科目全体を捨てるくらいなら、勉強効率が高いこれらの分野に的を絞って、勝負することも許されると思います。

上記の分野について出題を過去5年間みてみると、平成22年は2問、平成23年は2問、平成24年は2問、平成25年は2問、平成26年は3問が出題されています。確実に得点できれば、5問中2問という目標を達成できます。
 

会社法「設立」の学習ポイント

設立は、過去5年間をみると平成24年、平成26年に出題されています。少し古いですが平成19年の出題も分析に加えて学習のポイントを考えます。

最も大切な学習のポイントは発起設立と募集設立の比較です。募集設立は設立時株主に発起人だけでなく設立時募集株式引受人が含まれます。この設立時募集株式引受人の存在により、発起設立と募集設立はどのように点で手続きが異なるか、そこに焦点をあてて勉強してください。

【発起設立と募集設立の比較】
平成19年問題36選択肢ア・ウ
平成24年問題37選択肢ア
平成26年問題37選択肢ウ

この視点は設立の出題において必ず顔を出しています。なお、この比較をする際は、設立手続きを、定款作成(会社の骨組み作成)、出資・払込(所有者の決定)、設立時取締役等の選任(経営者の決定)、登記(公示)と4つの段階に分けて頭を整理すると暗記しやすいと思います。

次に、会社財産を確保する手続きです。設立は会社の基礎財産を形成するので、会社財産を確保する手続きが厳格になっています。平成24年問題37選択肢イ~オ、平成26年問題37選択肢エはこの視点による出題と考えることもできます。設立手続きを会社財産の確保という視点から見ることも忘れないでください。

もちろんその他の条文も出題されています。それはそれで大事なのですが、試験に出題される可能性のあるところをまずは優先して勉強するべきだと思います。
 

会社法「株式」の学習ポイント

会社法の学習ポイント

会社法の学習ポイント

株式の知識はほぼ毎年出題されています。頻出分野ですが、「株式は苦手」とする受験生は少なくありません。知識が多岐にわたり暗記がしにくいからでしょう。そこで、何が出るか、どう出るかについて明らかにして学習のポイントを考えます。

まず、何が出るかですが、一見すると過去問の踏襲性が高いことに気付きます。例えば、平成22年と平成24年は株主の権利行使、平成21年と平成23年は株式譲渡制限が主に出題されています。しかし、よく見ると、出題分野の踏襲性は高いのですが、過去問と同じ選択肢と言えるものは、平成22年問題36選択肢3と平成24年問題38選択肢2ぐらいしかありません。

つまり、過去問の範囲は踏襲するが、同じ選択肢はあまり出題されません。行政法のように同じ選択肢が出題されたり、少しだけ形を変えて何度も出題ということが少ないのです。これは単に過去問を覚えるだけでは対処できないことを意味します。

一方で、どう出るかですが、ひっかけについては過去問がしっかりと踏襲されていることに気付きます。

【権限の所在のひっかけ】
平成25年問題37選択肢オ
平成26年問題38選択肢3・4

【裁判所の許可の有無のひっかけ】
平成22年問題36選択肢1
平成24年問題38選択肢5

他にも、ひっかけの王道である「対句の入れ替え」として、平成23年問題38選択肢1は「包括承継」と「特定承継」を入れ替えて聞いています。しかもこれは正解の選択肢です。

以上から、学習のポイントを考えると、過去問で出題された範囲について、ひっかけに使われる下記のようなことを意識して、条文やテキストを読み込んでいくことが肝心だと思います。
・権限の所在の確認
・横断的なテーマの確認(裁判所の許可など)
・ひっかけの王道である対句・比較・原則と例外の確認

 

会社法「株主総会と取締役会」の学習ポイント

過去5年間をふりかえると、平成22年、平成23年、平成25年、平成26年に出題されています。学習のポイントは株主総会と取締役会は比較して勉強することです。下記のようにしっかりと出題されています。

【取締役会と株主総会の権限の相違】
平成22年問題39選択肢2
平成25年問題39選択肢イ
平成26年問題39選択肢1

勉強する際は、株主総会は会社の所有者の集まりであるのに対し、取締役会は経営者の集まりであることをしっかりと意識してください。会社法の基本理念である所有と経営の分離に深くかかわります。法律科目全般に言えることですが、基本理念に関する知識はよく出題されます
他にも様々なテーマが過去問で出題されていますが、まずは取締役会と株主総会の権限の相違を押さえるべきです。

次に、過去問の踏襲性として、平成22年問題37選択肢4と平成24年問題39選択肢ウ・エを取り上げたいと思います。

平成22年問題37選択肢4は、多額の借財をする場合に、取締役会に決定権があるかどうかを聞いています。そして、平成24年問題39選択ウ・エでは、多額の借財をする決定権が取締役会にあるとして、他の機関に委任ができるかを聞いています。明らかに過去問を踏襲した問題でありながら、同じ選択肢を回避しています。

このことから言えることは、やはり過去問をただ暗記しただけでは得点できないということです。もちろん、過去問と同じ選択肢が出題されることもあります。ただ、それは圧倒的に少ないのです。そのことを認識してください。過去問と関連する知識をしっかりと理解して吸収することが大切です。
 

商法・会社法で得点するための結論

今回ご紹介したのは頻出のテーマばかりです。これだけを勉強すればいいわけではありません。しかし出題可能性を考えると、まずは頻出のテーマを完璧にするべきです。その上で、頻出テーマ以外についても過去問で確認するという方法をとりましょう。
そのときに注意を要するのは、過去問をただ暗記するのではなく、過去問が出題された範囲の周辺部分の関連知識を押さえることです。そしてその際は、どうひっかけてくるかを考えてください。そうすれば、確実に商法・会社法で5問中2問を得点できる力が養われると思います。

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