ステーションワゴンほど便利で使える乗用車は他にない

M・ベンツCクラスステーションワゴン

Dセグメントのベンチマーク、M・ベンツCクラスのステーションワゴン。上級モデル並みの安全装備も備わる

その昔、80年代から90年代にかけて、ステーションワゴンのあるライフスタイルがクルマ好きみんなの憧れの的だった時代があった。きっと、ヨーロッパ、特にフランスより北のエリアに住む家族が、荷物をいっぱい積み込んで、南フランスやイタリアより南のリゾートに向かって高速道路をぶっ飛ばして夏のバカンスを楽しんでいる、というイメージが先行したものだろう。

くわえて、そんなステーションワゴンを選ぶ人種といえば、カメラマンやデザイナーといった“憧れのカタカナ職業”の人たちや、サーファーやゴルファーといった“人気のスポーツ”プレーヤーが多かったから、よけいにイメージが向上したのだと思う。当時の流行モノの典型パターンであった。

ステーションワゴンのカタログには(今もそうかも知れないけれど)、プロフェッショナルだけれどもピッカピカな機材を積んだ写真や、アウトドアグッズを詰め込んだワゴンのまわりを大型犬が走り回っているような写真が、よく使われたものだ(そんなことを実践するヒトなんて、なかなかいなかったけど)。
M・ベンツCLSシューティングブレーク

スタリングを重視した“4ドアクーペ”M・ベンツCLSクラスのワゴンモデルが、“スポーツクーペツアラー”CLSシューティングブレーク

時代がくだって、あれだけイメージのよかったステーションワゴンの人気は今、見る影もなくなってしまった。国産車はほとんど壊滅状態で、わずかに輸入車ブランドが本国での需要にあやかりながら日本向けにラインナップしてくれている程度である。

もちろん、なかには未だに人気のモデルもあるけれど、さすがに往時ほどの勢いはなくなってきた。セダン人気の低迷も、派生モデルの売れ行きにマイナスの影響を与えたと思われる。

けれども、よくよく考えてみると、ステーションワゴンは今でも使いやすいクルマであることに変わりはない。実用車としては、商用ユースが廃れていないことを思い出すまでもなく、未だにトップレベルで、ステーションワゴンほど便利で使える乗用車は、ほかになかったりするのだ。

だから、“流行り廃り”の目線から一歩引いてステーションワゴンを見てみれば、みんなが選ばない今こそ、ツウ好みの、ヒトとは違う選択にもなって、面白いと思う。妙に格好付け出したセダンよりも、ステーションワゴンスタイルの方が、適度にモダンでしっくりくることも多い。最新のCクラスワゴンなどは、その際たる例であろう。

ヨーロッパでは、依然、実用車の代表格であるステーションワゴン。輸入ワゴンを2つのクラスに分けて、それぞれのオススメモデルを紹介してみたい。あわせて、それでも多人数乗車にこだわりたい、とおっしゃる方たち向けに、数少ない輸入ミニバンのベストチョイスも付け加えてみよう。
シトロエンC4グランドピカソ

大きなフロントウインドウをもつ個性的なスタイルのミニバン、シトロエンC4ピカソ。7シーターはグランドC4ピカソ、5シーターはC4ピカソと呼ばれる