企業経営のノウハウ

社内SNSはありか?なしか?その効果を考える(2ページ目)

社内コミュニケーション活性化のために社内SNSを導入する企業が多いようです。ただ、ある調査によると、その9割が活用されずにいるとのデータもあります。一方、社内SNSが活用され、社内コミュニケーション活性化に大きく寄与している企業もあります。この違いは一体何が原因なのでしょうか。社内SNSの活用には何が必要なのでしょうか。社内SNSが社内コミュニケーション活性化の切り札となるのか。その可能性を探ります。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

社内SNSの目的の明示

なにより大切なのは、社内SNSの目的をしっかりと社内に明示することです。
社内SNSのイメージ

上手に活用されれば偶発的出会いの場となる

社内SNSを立ち上げるという企業では、これ以外にも社内コミュニケーションメディアやツールが複数存在することがあります。社内報、Web社内報、メールやイントラ、デジタルサイネージなど、数多くのメディアやツールがある中で、あえて社内SNSを立ち上げる場合があるかと思います。

こうしたとき、その他のものとの差別化、なぜ立ち上げ、どのように使ってほしいのかという目的を、現場の社員目線でしっかりと説明することが大切です。「メールもあるのに、いまさらSNSはないだろう」とか、「これ誰が使うの?」、「どのような使い方があるの?」などと社員は思うはずです。

メールは特定の人とのコミュニケーションツールです。相手のことを知っていることが前提となります。SNSは相手を特定せずに、情報を共有したり、質問を投げかけたりすることができます。自分の疑問に答えられる人が特定できるのであれば、メールや電話などで直接リーチできますが、誰が知っているか分からない場合、知っている人がいるのかどうかも分からない場合は、SNSにて投げかけてみて反応を待つ、そのような使い方となります。

時間と距離を超えた偶発的出会いの場

つまり社内SNSは、予期せぬ反応、予期せぬ人からの回答等が得られる、仮想空間での偶発的出会いの場となるのです。総務的見地から言えば、社内コミュニケーション活性化のために、コピーやプリンターなどの共用機材を一か所に集めることで、そこでの偶発的出会いの場を作るといった工夫をしている企業が多くあります。ただ、同一拠点内での出会いであって、他の拠点の人との出会いの実現は事実上無理です。また、働き方が異なることで同一時間内に出会わない人がいる場合もあるでしょう。

しかし、社内SNSの場合ですと、グローバル化の進んだ企業であっても、距離を超え、時差も超え、全世界に散らばる社員と偶発的出会いが可能となります。自分が得たちょっとしたナレッジを投稿してみる、それにより思いもよらない社員が気づきを得て、逆に情報がもらえたりする。先に記したように、誰に聞いていいか分からない疑問を投げかけることで、他の地域の社員が助けてくれる。

このような使い方を具体的に明示してあげることで、社員も自らの立場に置いて、具体的な使い方のイメージができる。そのような広報が必要です。「便利なサービスを導入しました、さあみなさん、自由に、いろいろな使い方で活用してください」、そのように社員の自主性に任せ、使い方を考えさせるようでは失敗する可能性が高いでしょう。

一般的に、運営側はさまざまなこと考え、導入するサービスのプロフェッショナルになっていることが多いものです。そのプロの見地から考えると、使うことのメリットも理解でき、いろいろと使い方もイメージできるのですが、実際に利用する現場の社員は、その予備知識もないまま提供され、右往左往してしまうことが多いものです。導入するサービスについては、全くの素人であるという認識のもと、具体的イメージが持てるまで絵を描いてあげる必要があります。

社内SNS。導入するなら、以上のように徹底的に手取り足取りお世話しつつ運営していけば、社内での多くの出会いを生み、いま企業に必要とされる、専門を超えた社内コラボレーション、そしてイノベーションに結び付いていく可能性があるはずです。
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