防災対応も二か国語
森ビルは、現在約2200戸の賃貸住宅を運営。そのうち約4割の世帯が外国人居住者である。フロントはじめ、健康相談など各種サービスは基本的にバイリンガル対応である。地震体験が少ない国から訪れている外国人顧客も多く、防災に関する資料、マニュアル解説などもすべて日本語と英語の二か国語で表記。少しでも不安を抑制し、万が一のときに冷静な対応が取れるよう準備が取られている。東日本大震災から丸4年を迎えた2015年3月11日、森ビルは「六本木ヒルズレジデンス」を例に同社の防災対策をマスコミに公開。人、建物、設備、備品の4項目から解説する。
年6回の防災訓練
まず、人。大きな地震が起きた場合、全居住者にインターホンで安否確認を行う。応答がない場合は住戸まで訪問するという。その後館内放送で冷静な対応を促す(英語と日本語で繰り返す)。「六本木ヒルズ」では年6回防災訓練を実施。テナントで働く人々も参加し、器具の使い方などを体験してもらう。さらに同社では、2.5キロ圏内に社員宿舎を100戸用意。公共交通機関が使えなくても30分以内に駆け付けることが可能だ。建物はグレードの高い構造技術を導入。「六本木ヒルズレジデンス」は超高層タワーB,C棟に粘性体制振壁を用いた制振構造を。通常は壁で隠すことが多いが、いつでもだれでも目視できるよう非常階段部分に露出させている。サービスアパートメントD棟には免震を採用。備え付けの家具が多いことから転倒を起こしにくい免震の採用は、付加サービスと受け止めることもできる。
設備は「六本木ヒルズ」の象徴ともいえる対策が取られている。一般的に災害時の大規模停電は6日間程度続くと想定されているが、同施設は基本的に停電しない。発電機が3日間稼働(重油があればその後も稼働)するため、一部の共用部照明、EV、水道が復旧。住戸内には震災用照明、専用コンセントの使用が可能となる(「六本木ヒルズの防災対策」参照)。水道は、給水タンク内で1日は通常通り使え、2,3日目は震災井戸を設置し生活用水として提供する。4日目以降は行政の給水車を見込む。EVは設備管理会社の到着をもって復旧。発電機稼働で再開する。ガス、電話、インターネットは停止。ガスの復旧は1~2か月後。電話、インターネットは約15日後復旧見込み。備品については「六本木ヒルズレジデンスの防災対策」参照のこと。
言葉とコミュケーション
「六本木ヒルズ」アリーナで行われた防災訓練
【関連記事】
タワーマンションの防災訓練