運動と健康/柔軟性・姿勢・コンディショニング・身体の動き

「関節痛」はあなたの何気ない癖が引き起こす(2ページ目)

多くの関節痛、特に変形性関節症と言われる部類は、生活習慣が原因になっているものがほとんど。特別なスポーツ等をしていなくても、歩き方や姿勢などの日常の癖が関節に負担をかけているのです。今回は、関節の基礎構造と生活の癖から関節痛を紐解いていきましょう。

中村 尚人

執筆者:中村 尚人

理学療法士 / 運動療法ガイド

ソファに座りっぱなしでは骨が変形する?

では、関節にとっての負担とはなんなのでしょうか?

関節の働きは「動く」ことです。体の動くところはことごとく関節ですね。関節内の軟骨はスポンジのような構造になっていて、血管は存在しません。

血管がないということは栄養はどこから得るのでしょうか?それは、いわゆる関節のお水と言われている「滑液」になります。この滑液は、関節が動くたびに軟骨の中に入ったり出たりします。軟骨はスポンジ状ですから、周りにある滑液は圧迫されると出て、圧迫がなくなると入るのです。ですから軟骨の成分の80%は水分です。これが、軟骨の循環になります。

ということは動かないと軟骨の栄養循環が滞るということですね。じっとしてる仕事は体の血液循環が滞るということはよく言われますが、それは軟骨に至っても当てはまることなのです。

座りっぱなしで動かなければ、軟骨の栄養循環が滞ってしまいます

座りっぱなしで動かなければ、軟骨の栄養循環が滞ってしまいます

患者さんでよく見受けられるのが、ソファでじっとしている方です。食後はソファで休憩。ソファでテレビ鑑賞。ソファで編み物。ソファでうとうと……。ソファでは体が丸くなったような姿勢になります。この姿勢で何時間もいることによって、背骨の椎間関節にはとても負担がかかりますし、姿勢は当然円背(猫背)傾向になっていきます。進行すると骨まで変形していってしまいます。

姿勢として一番負担のかからないもののヒントは「座禅」です。座禅は場合によっては何時間も行います。体に負担なく瞑想だけに集中できる姿勢といえます。昔の方が実践を通して見つけた姿勢ですね。

正しい姿勢はもちろんですが、軟骨を健康な状態に保つためには、適度な運動、つまり歩くこともオススメです。歩くことで進化してきた体ですので、歩く運動は関節にとっても、最適な刺激となります。

とはいえ、動きすぎもダメ?

動かないことは負担になるということは理解できましたてしょうか。では動きすぎはどうでしょうか?

「すぎ」がつくのはやはり良くありません。軟骨の単位面積当たりの耐えられる圧縮力は決まっており、限度を超えるとやはり壊れてしまいます。特に、肥満傾向の方は運動が重要だからといって、急にエアロビクスなどで飛び跳ねると関節を痛めてしまいます。

プール歩行も良く体にいいと言われますが、これも水の抵抗がかかるので、実は関節にはとても負担が大きい運動です。水に浮いてゆらゆらする程度であればいいと思いますが、水に負けずに頑張って歩くぞとなると過負荷になりかねません。特に股関節には負担が強くなりますので、股関節痛のある方には注意が必要です。

関節に良い生活習慣とは

関節の、特に軟骨の健康度を維持するには以下の点がポイントになります。

  • ジッとしない。同じ姿勢をとり続けない
  • 適度な運動(理想は歩く)をする
  • 過度な負担をかけない

日常生活を見直して、関節に負担のかからない姿勢、運動を心がけて下さい。健康な関節は、健康な生活の基盤です!

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