転換社債(CB)とは
長期投資に向くファンド
かつては日本でも頻繁に発行されていた転換社債ですが、近年、国内で発行されるものは数銘柄に過ぎません。転換社債は読んで字の如く「株式に転換することができる権利を持った債券」です。英語で「Convertible Bond」と呼ばれることから、略して「CB」と言われます。わが国では21世紀に入り商法が改正されたことから、正確には「(転換社債型)新株予約権付社債」と呼ばれるのですが、長い名称なので転換社債、またはCBという名で通っています。
転換社債は、一定の条件で一定の期間内に株式に転換できる権利(転換権)があるため、当該企業の株価上昇局面では値上がりが期待(株価との連動性)できます。逆に株価が下落する局面である場合、転換社債も連動して下落しますが、転換社債は債券であるため、価格が下がると利回りが上昇することになり、債券としての価値が下支えとなり、結果として株価の下落よりも転換社債の下落は限定的になる性格があるのです。
転換社債を株式に転換するか否かは投資家の自由ですが、仮に株式に転換しなければ満期時には額面金額で償還され、また定期的に利子が支払われることから、株式と比較するとリスクは限定的。しかも通常の債券よりも値上がり益を期待しやすい、言い換えれば株式と債券の良いとこ取りをした特徴を併せ持つ商品が転換社債なのです。
基準価額の下値は限定的
JPMグローバル・CB・ オープン'95は、世界の転換社債を投資対象としていますが、投資にあたっては投資地域の分散を図りながら、価格水準、株価との連動性などの投資効率、発行企業の成長性や安全性などを総合的に分析して銘柄を選別していきます。世界の転換社債に投資されますが、為替ヘッジを弾力的に行うことで、為替の変動による基準価額の下落リスクを軽減するように運用されています。2015年1月30日基準の月報によれば、組入銘柄数は186銘柄。組入上位10銘柄の資産配分は16.3%と低いことから、広範囲に分散投資が行われていることがわかります。国別構成比率は米国39.7%、地域別構成比率は北米39.7%、通貨別構成比率は米ドルが56.8%といずれも、米国(北米)の比率がトップであることから、その運用成績は、米国の転換社債市場の影響を受けやすいと言えるでしょう。
1月に決算期を迎えたことから運用報告書は半期前(2014年7月決算期)のものになりますが、売買高比率(売買回転率)は0.98と1を下回っていることから、厳選した転換社債をじっくり保有して収益を稼ぐ運用スタイルと推測されます。
為替ヘッジは米ドル建て資産が約48%、ユーロ建て資産は約81%、全体では約56%と資産の半分強をヘッジしていますが、基準価額の下振れを抑えることに重点をおいている(1月の月報より)ためで、株価連動性と共に随時見直し調整されることから、為替ヘッジありタイプのように円安メリットを享受できないわけではありません。
過去の年間の収益率を見ると、リーマンショックがあった2008年こそマイナス28.4%でしたが、翌2009年には35.6%ものプラスの収益を確保。2005年から2014年(2014年は8月まで)の平均収益率は6.54%と良好な運用成績を確保しています。派手さがない分、マーケットの急落局面でも下値は限定的と考えられることから慌てる必要はありません。
堅実かつ、長期投資に向くファンドとして覚えておいて損のない投資信託と言えるでしょう。