『ドラミング』のオリジナルダンサーのひとりでもある池田さん。
当時どういったプロセスで創作されたのでしょう?
池田>この作品は『Just Before』という作品のショートバージョンです。『ドラミング』の前年にあたる1997年につくられた『Just Before』は、沢山のテキスト、生演奏、ライヒ以外の曲(ケージ、クセナキス、リンベルグ、バルトロメー、ドゥ・メイ、ドビッシー)と休憩を入れた3時間の作品で、この作品のダンスパートだけが『ドラミング』に凝縮されました。テキストを言いながら踊ったデュオやソロもあります。このように、演劇性の強い作品をダンスだけの作品にショートバージョン化するつくり方は、ローザスではよくあります。日本ではテキストのあるローザス作品が紹介されていないのが残念です。
踊り手として感じる『ドラミング』という作品の難しさとは?
池田>難しさ……ないです。踊っていて楽しいです。初演時と現在で、変わった部分、変わらない部分とは?
池田>オリジナルダンサーが踊っていない分、どこから動きが生まれたかなどのエピソードを把握しているひとや演劇的なソースはなくなりましたが、ダンスとして受け継がれていく中での『ドラミング』のスピリットは変わっていないと思います。Drumming 1998 (C) Herman Sorgeloos