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2015年4月からの年金、増額でも実質目減り?(2ページ目)

平成27年度の年金額の改定が発表され、初めてマクロ経済スライドが適用されることになりました。年金額は増えても実質的に目減りです。ところで、今、保険料を負担している私たちの貰える年金額はどうなるのでしょうか? このままマクロ経済スライドを適用すると、2050年には……。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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現役世代が将来もらえる年金額は実質2割減少!?

■5年に一度行われる財政再検証
私たちが将来貰える年金はいくらになる?

私たちが将来貰える年金はいくらになる?

日本の年金は、現役世代から納められる保険料を、その時の年金支給の主な財源とする「賦課方式」が採用されています。そのため、公的年金の財政バランスは、人口構成や社会・経済情勢の変化によって、年々変わります。

あらかじめ100年先迄の収入や支出の見通しを立てても、実際に見通しどおりになるとは限りません。そこで、将来に渡り、年金制度を安定させるために、少なくとも5年ごとに「財政検証」を行い、人口や経済の実績を織り込み、新しい見通しを作成しています。昨年(平成26年)6月に、厚生労働省より「平成26年財政検証結果」が発表されました。

※「平成26年財政検証結果」より一部ガイド平野が加筆

※「平成26年財政検証結果」より一部ガイド平野が加筆


■所得代替率で年金水準は2割減少
財政検証では、将来の年金の支給水準(夫婦合算)を、現役世代の男性の手取り収入に対する割合で表した「所得代替率」を公表しています。現在の現役世代(男子)の手取り収入34.8万円に対し、年金支給は21.8万円(厚生年金9万円、夫婦の基礎年金12.8万円)で、所得代替率は62.7%です。これに対し、36年後の平成62年度の所得代替率は50.8%に下がる見込みです。【図】では、支給額は増えていますが、現役世代の手取り収入も賃金上昇率やインフレ率などが考慮され、56.8万円に上がっているからです。現在の水準に置き換えると、厚生年金8.6万円、基礎年金(夫婦)9.1万円、合計17.7万円となり、実質的には、約2割の目減りです。

■前提条件の甘さが目立つシミュレーション
財政検証の前提条件は【図】に記載しています。実際の財政検証では、8つのケースをシミュレーションしていますが、平成35年時の賃金上昇率が4.1%、運用利回りが4.9%としているなど、前提条件の甘さも目につきます。

老後のライフプランに影響する年金制度改革に注目!

最近決まった年金制度改革では、(1)基礎年金の国庫負担の引き上げ、(2)遺族基礎年金の支給対象の拡大(夫にも支給される)、(3)年金生活者支援給付金の支給、(4)老齢基礎年金の受給資格期間の短縮など、私たちにとって、プラスになることばかりです。その一方で、これからの検討課題として、 (1)短時間労働者の加入問題、(2)在職老齢年金の見直し、(3)高所得者の年金給付のあり方など、負担増加、給付削減につながるものばかりです。私たちの老後のライフプランに直結する年金制度改正の議論に注目しましょう。

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