老後に必要な生活費は、減少傾向に!?

ゆとりのある老後の生活費は、減少傾向に!?

ゆとりのある老後の生活費は、減少傾向に!?

家計に関するセミナーの場面で、「老後の生活費はどのくらい見込んでおけばよいのでしょうか?」といった質問をいただきます。もちろん、「老後に必要な生活費は、人それぞれです。あなたが、どのような暮らしをしたいかによって変わります。」と答えるしかないのですが、そう突き放す訳にはいきません。そこで、「参考までに、統計データでは……」というように切り出します。

老後の生活費に関する統計で、よく用いられるのが、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」の「老後の最低日常生活費」と「ゆとりある老後の生活費」です。この度、この最新版のデータが平成25年9月25日に公表されました。

平成25年の調査結果によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費は、22.0万円で、それに、老後のゆとりのための上乗せ額13.4万円を加えた35.4万円が、ゆとりある老後の生活費となります。直近3回の結果をグラフで比較してみました。すると、老後の最低日常生活費も老後のゆとりのための上乗せ額も平成19年、平成22年、平成25年と次第に減少しています。その結果、平成19年と平成25年を比較すると、ゆとりある老後の生活費は、約3万円減少したことになります。

「平成25年度生活保障に関する調査《速報版》」(生命保険文化センター)をもとにガイド平野泰嗣が作成

「平成25年度生活保障に関する調査《速報版》」(生命保険文化センター)をもとにガイド平野泰嗣が作成


生活防衛意識は、足元の家計だけではなく、将来の老後の家計にもおよんでいるといえる結果でしょう。同調査では、老後生活に対する不安の有無を調査していますが、「非常に不安を感じる」(25.0%)、「不安を感じる」(29.1%)、「少し不安を感じる」(31.9%)で、「不安感あり」と回答した人の割合は、86.0%で、この割合も徐々に増えています。「不安感あり」とした人の理由をみると、「公的年金だけでは不十分」(81.4%)、「日常生活に支障が出る」(49.7%)、「自助努力による準備が不足する」(37.6%)と続いています。公的年金だけでは老後の生活費はまかなえず、自助努力が必要だけれども、その準備が追いつかず、老後の日常生活に支障が出るのではないかと考え、老後の生活に不安を感じている様子がうかがえます。

実際の老後の家計は?

生命保険文化センターの「老後の最低日常生活費」や「ゆとりある老後の生活費」は、意識調査なので、実際の家計支出とは少し異なります。そこで、実際の夫婦の老後の生活費の状況を見るために、「家計調査」(総務省)から、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の高齢者夫婦)の家計収支をピックアップしてみました。

「家計調査報告(家計収支編)―平成24年平均速報結果の概況―」(総務省)より

「家計調査報告(家計収支編)―平成24年平均速報結果の概況―」(総務省)より


■理想と現実のギャップ、最低日常生活費の上乗せ額は2万円
平成24年の家計調査(平均速報結果)によると、食費や住居費、水道光熱費などの消費支出の合計は、24.0万円となっています。平成25年生活保障に関する調査の最低日常生活費22.0万円に対する上乗せ金額は2万円なので、ゆとりのある理想の上乗せ額の13.4万円にはほど遠く、実際には最低日常生活費に近い生活水準になっているといえます。

生活保障に関する調査では、平成25年と平成19年を比較すると、最低日常生活費、ゆとりある老後の生活のための上乗せ額ともに少なくなっていましたが、実際の家計ではどうでしょうか。

「家計調査報告(家計収支編)―平成18年平均速報結果の概況―」(総務省)より

「家計調査報告(家計収支編)―平成18年平均速報結果の概況―」(総務省)より


■収入減でも支出は減らず、赤字は拡大!
平成18年の家計調査(速報)の高齢夫婦無職世帯の家計収支における消費支出は、23.9万円で、平成24年と比較するとほぼ横ばいです。老後の家計に関して、生活防衛意識は働いているものの、実際の家計では、対応できていないといえるでしょう。実際に、平成24年の実収入は、平成18年と比較して22.4万円から21.9万円に減少していますが、支出はほぼ横ばいなので、家計の赤字は、平成18年の4.5万円に対し、平成24年は5.2万円に拡大しています。

>>老後の不安をどう解消する?