企業経営のノウハウ

御社のリフレッシュスペースを社員が利用しないワケ(2ページ目)

社内コミュニケーションの活性化を実現するために、オフィス内にリフレッシュスペースを作ったり、双方向コミュニケーションのためにイントラ内にWeb社内報を立ち上げたり、社内コミュニケーションを司る総務部や広報部が工夫しています。しかし、どれも社員が積極的に活用しない、そのような悩みを良く聞きます。どうしたら社員が活用してくれるのか。運用のポイントを紹介します。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

「それを見るより、仕事をしなさい」と言われてしまうから

せっかく作ったのに利用されていない……そんな例はリフレッシュスペース以外にもあります。そのひとつがWeb社内報です。

社内コミュニケーションメディアは印刷社内報とWeb社内報とのメディアミックスの時代となっています。印刷社内報はじっくりと読ませる企画、Web社内報は速報性のある情報を掲載するという、コンテンツの住み分けが運用のポイントです。

一方、印刷社内報を廃刊して、Web社内報だけにしてしまう企業も存在します。そうなると、閲覧率がどんどん下がる、そのような企業が多いようです。最近では、パナソニックが、Web社内報だけだったところ、印刷社内報も復刊したというニュースもありました。

なぜ、Web社内報になると読まれなくなるのでしょうか。一つは、プル型メディアの限界です。プッシュ型メディアである印刷社内報は、手元に配られ、パラパラとめくることができます。しかしプル型メディアのWeb社内報は、自らの意志を持ってクリックして見にいかなければなりません。そこに見たい記事、役に立つ記事があると分かっていれば見にいくでしょうが、それが本当に掲載されているかどうかは、見にいくまで分かりません。見なくても仕事ができる、となれば、見にいく確率は低くなります。そこが大きなハードルとなります。

また、Web社内報上で長文の企画物は、読まれない傾向にあります。写真が中心のニュースであればまだしも、編集部が一生懸命作った特集企画は残念ながら、そのコンテンツ量に反比例して読まれなくなります。

Web社内報を閲覧している様子

Web社内報、閲覧する風土がないと、見るに見られない

そして、もう一つの読まれない理由として、リフレッシュ スペースと同じように、Web社内報を見ていると仕事をさぼっていると思われてしまうことがあるようです。印刷社内報なら堂々と読んでいても別段問題は無いのですが、Web社内報を閲覧していると、ネットサーフィンをしているかのように思われて、後ろめたい気分になるというのです。

 

「Web社内報に掲載しているから」とトップに言ってもらう

人があるものを読む理由には、二つあると言われています。
情報として積極的に吸収しようという、積極的な閲読関心。

・仕事に役に立つ
・手軽に知りたい
・話題を豊富にしたい、知識を身につけたい
・物事の判断の参考にしたい
・出来事を早く知りたい、詳しく知りたい

もう一つの理由が、防衛的な意味合いが強い消極的な閲読関心。

・仲間はずれになりたくない
・読まないと仕事上、問題がある
・読めと指示されているから

一般的には、役に立つから読むのでしょうが、もう一つの消極的な閲読関心は、つまり、読んでおかないとまずいという理由です。

例えば、経営トップに「この詳しい内容はWeb社内報に掲載しているから、読んでおくように」そのように言ってもらうとか、読まないとまずいという状態を作り、徐々に、Web社内報を閲覧するということは、経営トップの指示に従っているのだ、そのような大義名分を醸成していくのです。

本来は、社内の情報を知っておくことが仕事上役に立つから閲覧する、というのが美しい姿でしょうが、それでも読みにくい雰囲気があるというのであれば、このように経営トップを活用するというのも一つの手でしょう。

ある企業では課長の昇格試験の問題が社内報から出る、ということで、該当者は必死になって社内報を読むそうです。試験近くになると、社内報の在庫が飛ぶようになくなるそうです。日ごろから大切にストックしておいて欲しいものです。
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