デフレ思考からインフレ思考にマインドチェンジ!
忍び寄るインフレ、家計で取るべき対策は?
■支出を減らすには、限界がある!?
家計の収支を改善するために「支出を減らす」という方法があります。亜棒土太郎さんの事例で、1年後に支出を1割(年間25万円)削減した場合(インフレ率2%の影響を受けます)の10年間の収支と資産の残高を見てみましょう。
10年後の資産残を見ると1,079万円で、インフレがない場合の1,092万円とほぼ同じ金額になります。けれでも、日々、やりくりをしている亜棒土太郎さんにとって、支出を一気に1割削減することは、かなり難しいでしょう。また、額面で1,079万円を貯めることができたとしても、インフレの影響を受けるので、現在の価値に直すと885万円になります。支出だけで、インフレに対抗するのは、至難の業です。
■インフレに負けない資産運用とは?
家計の改善するために積極的に投資を行って、「運用利回りを上げる」という方法が考えられます。預貯金の金利は、ほとんど0%に近いので、増えません。よく、「インフレに負けない運用をしましょう」と書かれていますが、実際にどのくらいでしょうか? 亜棒土太郎さんの事例で、10年後の資産残高の現在価値が、インフレがない場合の1,092万円になるような運用利回りを逆算すると、なんと11%と試算されました。
ちなみに、インフレ率と同じ2%で運用した場合、10年後の資産残は、額面で874万円、現在価値に直すと717万円になります。少なくとも、インフレ率を上回る運用をする必要があります。なお、どのくらいの運用利回りを目指せば良いかは、当初の資産残高によって変わります。仮に亜棒土太郎さんが、500万円の貯金があったとすると、インフレがない場合と同じ現在価値となるような運用利回りを逆算すると6%になります。当初の貯金が少ない人ほど、インフレ率をより大きく上回る運用利回りを目指さなくてはなりません。「資本主義において、持つ者と持たざる者の格差は、拡大し続ける」と、最近よく言われていますが、個人の家計シミュレーションでも、同じような結論になるといえそうです。
■支出の削減と運用利回りの合わせ技
亜棒土太郎さんの事例で、支出を1割削減しても、10年後の資産の現在価値は、885万円にしかならないという結果でした。では、支出を1割削減した上で、どのくらいの運用利回りを目指せば良いのでしょうか?
10年後の資産残高の現在価値が、インフレがない場合の1,092万円になるような運用利回りを逆算すると、4.5%と試算されました。これならば、なんとか目指すことのできる利回りでしょうか?
亜棒土太郎さんの事例では、収入は順調に毎年3%上昇するという、好条件でした。けれども、インフレ率が2%の下では、支出を1割削減した上で、運用利回りを4.5%にしないと、インフレがない場合と、同じ水準の資産は貯まらないという厳しい結果でした。さらに、今後の税金や社会保険料の負担増加などによって、家計に入ってくるお金(可処分所得)自体が少なくなることも考えられます。そう考えると、ますます家計のやりくりは厳しくなるでしょう。本格的なインフレとなりそうな予兆のある今こそ、デフレ思考からインフレ思考にスイッチを入れ替え、支出の見直し、運用の見直しに取り組み、インフレに負けない家計を作りましょう!
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