ダイナミックな天草灘を車窓から眺めよう!
ここからは、肥薩おれんじ鉄道の美しい車窓を南から北へ、川内から八代に向けてご紹介していきます。川内駅を出発した肥薩おれんじ鉄道の列車は、海に向けて進路を取り、薩摩高城(さつまたき)駅付近で砂浜が広がる海沿いに出ます。この海は天草灘(東シナ海)。見通しが良ければ約40km沖合にある甑島(こしきしま)列島の島影も望めます。
肥薩おれんじ鉄道の線路は、薩摩高城駅から牛ノ浜駅までの約10kmの区間で天草灘とつかず離れずの所を走ります。薩摩高城-西方間で目に留まるのは不思議な形をした人形岩。観光列車「おれんじ食堂」では、人形岩のような景勝地では列車のスピードを落としてくれるので、車内からゆっくりと見ることができます。
薩摩大川-牛ノ浜間では、海に浮かぶ岩の上に鳥居がある"すみっ瀬"を遠くに望めます。
牛ノ浜駅を出発すると、肥薩おれんじ鉄道の線路は一時的に天草灘から離れて内陸に入り、阿久根駅に向かいます。
鹿児島・熊本の県境にかかる石橋に注目!
阿久根駅を出た肥薩おれんじ鉄道の線路は、再び天草灘沿いを走るものの、すぐに内陸へ入ってしまいます。次に海が見えるのは、九州新幹線と乗り換えられる出水(いずみ)駅の次、米ノ津駅を過ぎたあたりから。ここから見える海は八代海(不知火海)に変わっています。米ノ津駅は肥薩おれんじ鉄道の鹿児島県内最北の駅で、次の袋駅との間に鹿児島・熊本の県境があります。
ここで鹿児島と熊本を区切っていたのは境川という幅たった8メートルの小さな川。江戸時代までは肥後・薩摩の藩境ということもあり、橋が架けられなかったのですが、西南戦争終了後の明治時代中期に境橋というアーチ型の石橋が架けられ、人々が自由に往来できるようになりました。
現在はすぐ横に国道3号線の橋がかかっており、人の往来もほとんどない静かにたたずむ趣きのある橋となっています。肥薩おれんじ鉄道の線路のすぐ山側にあるので車窓から間近に望むことができます。観光列車「おれんじ食堂」では、県境にかかる鉄橋で一時的に列車を止めて、この境橋について詳しく説明してくれますよ。
異様な形の断崖をモノレールが登っていく!
熊本県に入った肥薩おれんじ鉄道の線路は、水俣(みなまた)駅、新水俣駅と主に内陸側を走り抜けます。海の風景がちょっと恋しくなる頃、津奈木(つなぎ)駅の先で海側の方向を見ると国道3号線の向こうに異様な形の断崖が迫っている風景が現れます。ここは室町時代の初期に津奈木城が築城された所。現在では城の面影はなく、舞鶴城公園として整備されています。肥薩おれんじ鉄道の車窓からは、舞鶴城公園の断崖を這うように登っていく四角い乗り物があるのがわかります。これは断崖の麓にあるつなぎ美術館から舞鶴城公園の展望所に行くためのモノレール。展望所からは八代海(不知火海)や津奈木の町並みを見下ろすことができるとのこと。
断崖の右に突き出た岩は、重盤岩(ちょうはんがん)と呼ばれる巨岩。観光列車「おれんじ食堂」でも説明をしてくれますが、乗り終わった後にでも改めて立ち寄りたい所ですね。
続いては、再び目の前に現れる美しい海の風景を堪能しましょう。次のページでご紹介します。