企業経営のノウハウ

組織活性化のためというけれど、飲み会は本当に必要?

春はお花見、夏は暑気払い。秋は月見に、冬は忘年会に新年会。ことあるごとに飲み会が開かれます。人事異動の前後には、送別会や歓迎会、新入社員歓迎会もあるでしょう。あるいは、組織活性化のために、という名目で開かれることもあります。確かに、飲み会は組織活性化には役に立つと多くの人が思っているようです。本当に飲み会を開いていれば組織活性化に繋がるのでしょうか?

豊田 健一

豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーション ガイド

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長を経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、株式会社月刊総務 代表取締役社長『月刊総務』編集長、ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム理事、総務育成大学校主席講師。総務経験を生かした総務と営業のコンサルや講演など多数。

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組織活性化とは、どういう状態?

組織が活性化されているという状態は、どのようなイメージでしょうか? 組織内のメンバーがワイワイ、ガヤガヤと楽しく仕事をしているイメージでしょうか? そもそも、組織とは何か。アメリカ合衆国の電話会社社長で経営学者でもあったチェスター・バーナードが次のように定義しています。
組織が活性化している様子

組織活性化とは、楽しく目標を追っかけている状態



「組織とは、意識的に調整された2人または、それ以上の人々の活動や諸力のシステム」

そして、この組織の成立要件は次の3つです。
  • 共通目的(組織目的)
  • 協働意志(貢献意欲)
  • コミュニケーション
つまり、メンバーが同じ目標に向かって、コミュニケーションを取りながら協力していることが組織というわけです。

組織の活性化にとって、メンバーがワイワイガヤガヤと楽しく仕事をしている状態は大事でしょうが、上の成立要件に記した共通目的のために活性化している必要があります。つまり、メンバーが活性化しながらどのようなやり取り、どのような内容のコミュニケーションがされているかが問題なのです。

コミュニケーションの中身と参加する意義

組織を活性化する場には、大きく分けて3つあります。会議、オフサイトミーティング、飲み会です。これら三つはまったく性格が異なるもので会議は真面目に真面目な話をする場、オフサイトミーティングは気軽に真面目な話をする場、飲み会はお酒の入った楽しい場です。

飲み会でされるコミュニケーションでは、仕事の話からプライベート、政治経済、芸能ネタ、ありとあらゆるジャンルに及びます。このほか、飲み会の場で一生懸命にメモを取りながらコミュニケーションがされるということはあまり考えられません。逆に無礼講ということで、多少失礼な会話がされることもあるでしょうし、人によっては、記憶に残らないこともあるでしょう。

飲み会のコミュニケーションでは、中身はあまり問題とはなりません。美味しいお酒と料理を楽しみながら、この飲み会の場が楽しいと感じること、なによりこの場に一緒に参加していることが大事なのです。人間の三大欲求の一つ、食欲を一緒に満たしました、という事実が大事なのです。結果、参加者は仲良くすることができるはずだ、仲がいいはずだ、よっていろいろと協力できるはずだ、そのような認識をお互いが得ることが大事なのです。

飲み会を契機に商談が進む、コラボレーションが進展するというのはそういう意味ではよくある話です。プロジェクトや年度始まりのキックオフパーティーも仲良くなる儀式なのかもしれません。
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