第3フェーズ:意図された交流の場の仕掛け
第2フェーズが偶発的な出会いの場であるのに対して、こちらは人事などの事務局側が意図した出会いの場の提供です。事務局側が引き合わせたい社員同士をコミュニケーションの場に連れてくるのです。食事会は知らないメンバー同士を組み合わせると効果的
例えば食事会。仲の良い者同士の食事代を補助するケースもあますが、ここでの施策は、事務局側が食事会の参加者をピックアップして連れてくるのです。普段話す機会の無い社員同士をあえて同じ場に連れてきて、お弁当を提供、場合によっては話すテーマも選定します。
ワークショップも同様です。各テーブルのグルーピングを事務局が選定していきます。この場で初めて会ってコミュニケーションをすることで、その後、仕事で困ったときの相談先になったり、プロジェクトチームを組むときのメンバーとして招聘するケースもあるでしょう。
社内報の座談会も同様の効果があります。会話がはずむからといって、知り合いばかりを集めるのは意味がありません。可能な限り、普段会話をすることのない社員同士を組み合わせることで、その後の展開に期待するのです。
いずれにせよ、このフェーズでは、偶発的な出会いを待っていては出会わないようなメンバー同士を事務局が意図して出会わせます。ですから、事務局側として、普段のコミュニケーションの実態を把握しておくことが肝要です。
第4フェーズ:変える
最後は、特定のメンバーの場を変えてしまう施策です。席替えであったり、レイアウト変更であったり、もっと直接的には人事異動です。こうしたことにより、あらたな関係性が構築され、いままでの人的ネットワークを新たな働く場に接続することも期待できます。ある企業では、社内短期留学という制度があります。例えば、人事部のメンバーが経理部に期間を定めて送り込まれるのです。経理部に留学した人事部のメンバーは、全くの経理の素人ですから、あれやこれやと根本的な質問を投げかけていきます。従来から普通と思っていた仕事に、さまざまな質問が投げかけられ経理部のメンバーは多くの気づきを得るそうです。当然、その人事部メンバーは経理部に人脈を築くことができます。
一方、メンバーを差し出した人事部では、人員がいきなり純減となりますから、部全体でその分をカバーしなければならず、そのためにさらに深いコミュニケーションが取られることでしょう。
このフェーズは、特定のメンバーを強制的に元いた働く場から、異なる働く場へ異動させる施策です。どのメンバーを異動させるかによって、その効果も大きく異なります。インフルエンサーと言われる影響力の大きなメンバーを上手に動かすことで、さまざまな部署でのコミユニケーションが活性化されることでしょう。