見せない器具と見せる光
照明は「光と影と色」のバランスをどう理解するかによって、空間の良し悪しが決まります。そのために選ぶ照明器具は器具自体が光って空間で主張するものと良い光が出るのであれば、器具はあまり目立たないほうが良い場合があります。どのようなインテリアでも照明によって空間の見え方や雰囲気は変化します。壁や天井、インテリアエレメントを美しく見せたいのであれば、出来るだけ器具は目に見えないように隠すことがお勧めです。
このようにそれと気づかれない照明は舞台照明をイメージするとわかりやすいですね。劇場の一部に照明器具を隠して、観客席から照明器具は見えず、光だけで演劇のセットに相応しい雰囲気を作り上げ、光の効果で観客の目を舞台に引き付けさせる手法です。
空間規模の小さい住宅では劇場のように照明器具を隠す場所があまりありません。そのため日常の生活視点で、出来るだけ目に入らない天井に照明器具が取り付けられます。日本の場合大抵が乳白カバー付きのシーリングライト器具になりますが、その光に方向性がなく、明るいけど影の薄いありきたりの照明効果になっています。
もちろんこのような照明でもスタンドやペンダント器具を追加することで、適度な陰影を作ったりすることもできます。しかし部屋の広さによっては照明器具で占領され、視覚的な混乱を起こすことも考えられます。
次のページでは「超小型ダウンライト」についてご紹介します。