そのひとつにミュージカルがありますが、今回ピックアップするのはミュージカルとは違い、物語そのものが音楽に関わっているバンド映画です。ではまず最新作2本からいってみましょう!
音楽が人生を救う!大感動の日米音楽映画
『はじまりのうた』(2013年度作品)
ミュージシャンの恋人とともにメジャーデビューのためにNYへやってきたグレタ(キーラ・ナイトレイ)ですが、恋人が浮気をしてフラれてしまう。傷心の彼女だったけれど、あるライブハウスで飛び入りで歌ったことがきっかけで音楽プロデューサー(マーク・ラファロ)にスカウトされるが、彼はレコード会社をクビになったばかりの男だった……。
デモテープを作るお金はない、スタジオも借りられない、でもPCがあるじゃん、街でライブ録音しちゃえ!とニューヨークの街角でライブをするグレタとミュージシャンたち。街のノイズも音楽の一部、そんな生歌が悪いわけがないじゃないですか。
フラれて悲しみの底にいたヒロインが音楽に救われるプロセスが本当にセンスよくてしびれる。と、同時にクビになったプロデューサーも彼女の声に懸けて、音楽を創りだす喜びを得るんですよ。みんなが前を向いて走り出す瞬間の輝きがまぶしい。楽曲も素晴らしく、キーラ・ナイトレイがこんなに可愛くて素敵な声の持ち主だなんて! 全米5館公開の小さな作品がクチコミで1300館に拡大され大ヒットしたというのもうなづけます。
2015年2月7日公開
監督:ジョン・カーニー出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、ヘイリー・スタインフェルド、アダム・レヴィーンほか
(C) 2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED
『味園ユニバース』(2015年度作品)
大阪の公園で行われていた赤犬の野外ライブにフラリと現れた男(渋谷すばる)は、突然マイクを握り歌い出し、その歌声が赤犬のマネージャーのかすみ(二階堂ふみ)の心を捉えます。歌ったあと気絶した彼を自宅兼スタジオに運び、診察してもらうと、彼は記憶喪失だったことがわかり……。
記憶は失っても歌だけは覚えていた男、彼の半生にはその歌が刻まれていたのです。だからこそ、彼の歌は人々の心を捉えたんだなあと。
関ジャニの渋谷すばる主演作ですが「アイドル映画」と侮ってはいけません。まず渋谷すばるのものすごい声量には驚くこと必至。加えて傷ついたはみ出し者の役もハマっており、これまでの王子様的なジャニーズのイメージをガラリと変える好演です。大阪人の人懐っこい人柄、赤犬のバンドメンバーのにぎやかさも楽しい!
厳しい世界でハンパに生きてきた男が人生をやり直す、そこに希望が垣間見られるのです。音楽が彼に生を与えたのだな~としみじみさせる良作です。
2015年2月14日公開
監督:山下敦弘 出演:渋谷すばる、二階堂ふみ、鈴木紗理奈ほか
(C) 2015 『味園ユニバース』製作委員会
>美麗なるロックの世界へいざなう音楽映画