疲労回復法/お風呂・温泉を使った疲労回復法

花粉症を和らげるお風呂の入り方…温度で症状がひどくなることも

【医師が解説】花粉症の対策の基本は、アレルゲンである花粉との接触を避けることですが、簡単ではありません。今回は花粉症の症状を抑えるお風呂の入り方のコツをご紹介します。入浴法によっては、お風呂上がりの症状がひどくなる可能性もあるので注意が必要です。

早坂 信哉

執筆者:早坂 信哉

医師 / お風呂・温泉の医学ガイド

お風呂に入って血流を良くし、温かな湯気を吸い込むことで花粉症にラクになります

お風呂に入って血流を良くし、温かな湯気を吸い込むことで花粉症にラクになります


2020年のスギ花粉量は昨年よりやや少なめとは言え、飛散開始は九州から東北まで例年並みとなるとのことで、2月上旬に九州や四国、東海、関東地方の一部から花粉シーズンがスタートする見込みです。花粉症の方にとってはまたつらい季節がやってきます。

ご存じの通り、花粉症の原因は花粉に対するアレルギー反応です。その対策はアレルギーの原因であるアレルゲン(花粉)との接触をなるべく避けるのが基本です。ただ、接触を避けるといっても外出しないということは不可能ですね。そこで、お風呂を活用して、花粉症の症状を抑える方法を紹介いたします。

<目次>  

花粉症の対策にはお風呂も効果的

外出すると、花粉が髪や顔などの露出部分を中心に付着します。花粉症の軽減のためには花粉の除去が一番大切ですので、外出後はすぐに着替えてお風呂に入り、入念に花粉を洗い流すようにしましょう。

花粉症による鼻づまりは、鼻の粘膜の充血によるものです。そこで、お風呂に入って血流を良くし、温かな湯気を吸い込むことで、花粉症による鼻づまりも一時的に解消します。湯気を吸い込むことは気道に適度な湿り気を与え、気管の異物を排出させるための繊毛運動を正常化するのです。

湯気の吸入は日本ではあまりなじみのない治療法ですが、ドイツやフランスなどでは良く行われている温泉療法の一種でもあります。もちろん花粉を洗い流すだけの目的ならシャワーでも構いませんが、体を温めて血流を改善する効果はあまり見込めません。

また、お風呂は鼻づまりだけではなく、他の症状も和らげてくれる可能性があります。昔からの眼科での処置として、蒸しタオルや器具で眼を温める「温罨法(おんあんぽう)」という方法があり、最近の研究でも顔面へのネブライザー(薬品を含んだ湯気をあてる治療法)で花粉症の症状である涙目、眼のかゆみ、顔の乾燥感が改善したという研究報告があります。このような報告を踏まえると、お風呂に入って湯気が顔にあたることで、目や顔の症状が改善するということも考えられます。
 

花粉症の悪化は疲れやストレスも原因

アレルギーは疲労やストレスで症状が悪化することが報告されています。単純に花粉の量や花粉に接触する時間の長さだけで、花粉症の症状の重さが左右されるわけではありません。私の知っている患者さんでも、疲れてくると花粉症が悪化する、ということを伝えてくれる方がいます。

花粉を洗い流すだけならシャワーでも目的を果たすことが出来ますが、シャワーはお風呂と比べて温熱作用は少なく、浮力作用もないことから、疲労回復効果やストレス軽減効果はあまり期待できません。私たちの研究でも、毎日シャワーだけの人は湯船に浸かっている人と比べてストレスが強いことが分かっています。シャワーだけでなく、湯船にもしっかり浸かって疲労やストレスから解放されれば、花粉症の症状も軽減される可能性があります。
 

お風呂上がりに症状がひどくなる場合の見直しポイント

花粉を楽にする入浴法

花粉症対策のお風呂の入り方にはコツがあります。それは42℃以上の熱い湯に浸からないことです。熱い湯に浸かるとヒスタミンというかゆみの原因物質ができてしまい、花粉症が悪化する可能性があります。38~40℃のぬるめの湯に15分を目安に入浴しましょう。もちろんバスタオルや衣類なども花粉の時期は屋外で干さないことが大切です。

花粉症の季節は、お風呂を上手に使って、原因となる花粉を体から洗い流すだけでなく、疲労やストレスを軽減させて、花粉症を少しでも軽くして乗り切っていただければと思います。

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