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サンチョが主人公のドラクエV「俺屍2」(3ページ目)

今回ご紹介するゲームは、非常に評判の悪いゲームです。なんで評判の悪いゲームをご紹介するかというと、確かに評判が悪く、ゲームを台無しにするようなガッカリポイントがある作品ではあるのですが、一方で、とても魅力的な部分も持っているのです。ですから、ガッカリなところと、面白いところの、両方をご紹介して、それでも遊びたい方にはオススメしたいと、こういうわけです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

父の最期

PS3とPSVitaの図

時には、父と娘の物語も

ゲームを進めていて、なかなか倒せないボスがいるとします。こいつにはまるで歯がたたない、そういう時はどうするのか。ただレベルを上げてもこのゲームでは限界があります。時間が経てば、やがて老いていき、成長は止まり、死が待っているのです。

そこで、次世代に望みを託します。もっとも素質の良い人物が、神様と交神の儀を執り行い、子どもを作ります。選ばれたのは、体の火と、技の火が高い、弓使いの男性。一族最高の攻撃力を誇り、火属性の弓矢を3連続で打ち込む奥義を持っています。一方、防御力や体力はやや低め。この際、弱点を補うことは捨て、彼の才能をさらに伸ばすべく、火の神様と交神します。

神様の所から、子どもがやってくると、父親にそっくりな目をしたかわいい女の子でした。父親を凌駕する攻撃の才能を秘めたその子は、父親と同じ弓使いとなり、父の手ほどきで奥義を継承します。ただし、才能があるとはいえ、そのままではいきなりボスとは戦えません。父親達他の一族とダンジョンにおもむき、戦闘を重ね、その成長を開花させていきます。その間も、父世代は少しずつ歳を取り、老いていくのです。なんとか、この子が成長した暁には、寿命が尽きる前にもう一度あのボスと戦って、勝利を掴ませてやりたい、そんな気分になってきます。

2年で寿命が尽きてしまうこの一族、父親が1歳7か月になったころ、娘は立派に成長しました。一方、父親の方はそろそろ衰えが見え、何もしなくても健康度が少し下がっています。父娘が一緒に討伐を目指すのであれば、このタイミングしかない、そう思って宿敵の元へと向かいます。

さあ、いよいよ因縁の再戦です。しっかりと力を蓄え、準備してきましたが、やはりボスは強い。防戦一方で、こちらが倒されないようにするのがせいぜいで、なかなか大きいダメージを与えることができません。

このままではジリ貧、そしてここで負ければ、もう父親に次の機会はないでしょう。その時、1つの決断をします。防御を捨てて、最後の1撃にかけると。これまで、防御力や回避力の向上、体力や状態異常の回復に回していたリソースを、全て攻撃力と火属性の威力上昇につぎ込みます。当然一気に形勢は悪くなり、いつ誰がやられてもおかしくないような状況に追い込まれます。それでも、ギリギリまで威力を高め、そしてあの娘が、奥義を構えます。他の一族は娘だけは倒されないようにと、回復の術をかけ、体を張ってかばいます。

そしてそこに最後、父親が加わるのです。そう、親子で同じ奥義を会得している2人だけが可能な、奥義の併せ! 「併せるぞ!」「はい、父上!」2人の会話が聞こえてくるようです。

神様から継いだその力を、みんなに育ててもらったその技を、最大最高に高めて父と共に放つ奥義、文字通り命を燃やして放った炎の矢は、見事、見事宿敵を貫くのです。

打倒を果たし、屋敷に帰るも、みんなの顔はすぐれません。老いによる衰え、激闘による疲労、そして最後の奥義が決定打となり、父親の命は今まさに尽きようとしていました。「俺はいつだって、お前の後ろにいる。だけど、振り返るな。振り返ったら、負けだぞ。」そう遺言を残すと、彼は息を引き取りました。そしてまた、娘は父の遺言を胸に、次の世代へ自分の命を繋げていくのです。

主人公は、あなたではありませんが

PS PLUSの図

もうあまり時間がないのですが、2015年2月3日までは、PS PLUSにて、フリープレイでも遊ぶことができます。また、ガッカリポイントが災いして、中古の価格もだいぶ安くなっています(イラスト 橋本モチチ)

というわけで、俺屍2のガッカリポイントとオモシロポイント、両方をご紹介してみました。もう一度念を押しておきますが、このゲーム、自分が主人公だと思って始めると、大変にガッカリする場合がございます。

ですが、世の中には色んな人がいるものです。とてもガッカリしている人がいることは確かですが、それでもってこのゲームの良いところも全部無しにしてしまうのは、惜しいとも思うわけです。ガッカリなところも分かった上で、それでも面白そうという方が遊んでみる、というのが一番良いのではないかと思います。

なんだか自分の一族とは別のキャラがワーワーやっているけれど、でも、そんなことは気にせず、一族を育み、語られない物語を楽しみたい、そう思えれば、他にはない魅力のあるゲームですから、ぜひ、遊んでみていただければと思います。

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