父の最期
時には、父と娘の物語も
そこで、次世代に望みを託します。もっとも素質の良い人物が、神様と交神の儀を執り行い、子どもを作ります。選ばれたのは、体の火と、技の火が高い、弓使いの男性。一族最高の攻撃力を誇り、火属性の弓矢を3連続で打ち込む奥義を持っています。一方、防御力や体力はやや低め。この際、弱点を補うことは捨て、彼の才能をさらに伸ばすべく、火の神様と交神します。
神様の所から、子どもがやってくると、父親にそっくりな目をしたかわいい女の子でした。父親を凌駕する攻撃の才能を秘めたその子は、父親と同じ弓使いとなり、父の手ほどきで奥義を継承します。ただし、才能があるとはいえ、そのままではいきなりボスとは戦えません。父親達他の一族とダンジョンにおもむき、戦闘を重ね、その成長を開花させていきます。その間も、父世代は少しずつ歳を取り、老いていくのです。なんとか、この子が成長した暁には、寿命が尽きる前にもう一度あのボスと戦って、勝利を掴ませてやりたい、そんな気分になってきます。
2年で寿命が尽きてしまうこの一族、父親が1歳7か月になったころ、娘は立派に成長しました。一方、父親の方はそろそろ衰えが見え、何もしなくても健康度が少し下がっています。父娘が一緒に討伐を目指すのであれば、このタイミングしかない、そう思って宿敵の元へと向かいます。
さあ、いよいよ因縁の再戦です。しっかりと力を蓄え、準備してきましたが、やはりボスは強い。防戦一方で、こちらが倒されないようにするのがせいぜいで、なかなか大きいダメージを与えることができません。
このままではジリ貧、そしてここで負ければ、もう父親に次の機会はないでしょう。その時、1つの決断をします。防御を捨てて、最後の1撃にかけると。これまで、防御力や回避力の向上、体力や状態異常の回復に回していたリソースを、全て攻撃力と火属性の威力上昇につぎ込みます。当然一気に形勢は悪くなり、いつ誰がやられてもおかしくないような状況に追い込まれます。それでも、ギリギリまで威力を高め、そしてあの娘が、奥義を構えます。他の一族は娘だけは倒されないようにと、回復の術をかけ、体を張ってかばいます。
そしてそこに最後、父親が加わるのです。そう、親子で同じ奥義を会得している2人だけが可能な、奥義の併せ! 「併せるぞ!」「はい、父上!」2人の会話が聞こえてくるようです。
神様から継いだその力を、みんなに育ててもらったその技を、最大最高に高めて父と共に放つ奥義、文字通り命を燃やして放った炎の矢は、見事、見事宿敵を貫くのです。
打倒を果たし、屋敷に帰るも、みんなの顔はすぐれません。老いによる衰え、激闘による疲労、そして最後の奥義が決定打となり、父親の命は今まさに尽きようとしていました。「俺はいつだって、お前の後ろにいる。だけど、振り返るな。振り返ったら、負けだぞ。」そう遺言を残すと、彼は息を引き取りました。そしてまた、娘は父の遺言を胸に、次の世代へ自分の命を繋げていくのです。
主人公は、あなたではありませんが
もうあまり時間がないのですが、2015年2月3日までは、PS PLUSにて、フリープレイでも遊ぶことができます。また、ガッカリポイントが災いして、中古の価格もだいぶ安くなっています(イラスト 橋本モチチ)
ですが、世の中には色んな人がいるものです。とてもガッカリしている人がいることは確かですが、それでもってこのゲームの良いところも全部無しにしてしまうのは、惜しいとも思うわけです。ガッカリなところも分かった上で、それでも面白そうという方が遊んでみる、というのが一番良いのではないかと思います。
なんだか自分の一族とは別のキャラがワーワーやっているけれど、でも、そんなことは気にせず、一族を育み、語られない物語を楽しみたい、そう思えれば、他にはない魅力のあるゲームですから、ぜひ、遊んでみていただければと思います。
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