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サンチョが主人公のドラクエV「俺屍2」

今回ご紹介するゲームは、非常に評判の悪いゲームです。なんで評判の悪いゲームをご紹介するかというと、確かに評判が悪く、ゲームを台無しにするようなガッカリポイントがある作品ではあるのですが、一方で、とても魅力的な部分も持っているのです。ですから、ガッカリなところと、面白いところの、両方をご紹介して、それでも遊びたい方にはオススメしたいと、こういうわけです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

悪評の高い、ガッカリな作品

PSVitaの図

最新作はPSVita用タイトルとして登場

今回ご紹介するゲームは、非常に評判の悪いゲームです。ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたPS Vita用ソフト「俺の屍を越えてゆけ2(以下、俺屍2)」。PlayStationで発売された名作RPG「俺の屍を越えてゆけ」の続編です。

陰陽師、阿部晴明(あべのせいめい)によって、人と子を成すことができなくなる「種絶の呪い」と、2年程で命が尽きてしまう「短命の呪い」をかけられた一族の物語で、人と子どもがつくれない代わりに「交神の儀」によって神様と子どもをつくり、その血筋を繋ぎながら呪いをかけた阿部晴明打倒を目指します。清明打つべし!

冒頭、非常に評判が悪いゲームですと言いました。そう、このゲームは本当に評判が悪いんですね。実際、ガイドも最後までプレイしてみて、これはガッカリする人も多いだろうなあと思いました。特に、前作を楽しんでプレイした人ほどガッカリするかもしれません。人によっては、ガッカリを通り越して、怒りが沸いているような方もいるようです。

ただ、ゲーム全体の出来が悪いかというと、そんなことはありません。むしろ、とても良くできている、面白いゲームです。それが、ある1つのガッカリポイントによって台無しになってしまったと感じている人が多いんですね。

これから、そのガッカリな部分と、ゲームとして面白い部分の、両方をご紹介しようと思います。もしガッカリ部分の話を聞いて、それは嫌だなあと思ったら、手を出さない方が無難です。本当にガッカリしますから。

でも、ガッカリな部分は気にせず、良いところを楽しみたい、と思えた方は、ぜひ遊んでみてください。

サンチョが主人公のドラクエV

主人公になりきっている図

自分が主人公で大活躍! という普通のゲームをイメージしていると、肩透かしを食らいます

サンチョって知ってますか? 「ドラゴンクエストV(以下、ドラクエV)」に登場する、主人公の父親パパスの召使いのおじさん。ドラクエVは勇者一家の物語ですが、サンチョやピピンといった、ゲーム側が用意したサブキャラクターも登場し、パーティーに加えることができます。

俺屍2のガッカリポイントを簡単に説明するとですね、ドラクエVで勇者一家の大冒険を楽しもうと思ったら、勇者一家の話は全然なく、サンチョがやけにでしゃばり、ラスボスとやりとりし、その過去を巡る話を長々とを聞かされ、気がついたら勇者一家は蚊帳の外、むしろ脇役引き立て役、よく見るとグラフィックもサンチョの方が断然かっこいい、そして途中で気がつくんですね。「これサンチョが主人公じゃねーか!」こんな感じです。

俺屍2には夜鳥子(ぬえこ)というヒロインがいまして、これが途中から一族に加わります。夜鳥子は神様なんですが、「交神の儀」は行わず、一族の一員として転生し、パーティーに加わるんですね。夜鳥子も一族と同じく短命で2年ほどで寿命がつきますが、他の一族とは違い、何度でも転生で蘇ります。

ピピンやサンチョのようなサブキャラクターかと思いきや、物語の主人公はこの夜鳥子なんです。ストーリーは、全てが夜鳥子中心に進んでいきます。そして、夜鳥子がでしゃばればでしゃばるほど、プレイヤーが一生懸命育てている一族は置いてけぼりになります。

しかも夜鳥子がでしゃばるの物語だけではないんですね。夜鳥子はヒロインだけあって非常に美しいグラフィック、特別な衣装で描かれています。一族で記念写真を撮っても、1人だけかっこいいヒロインがポーズをとって目立っていれば、なんだか一族は引き立て役みたいです。一族の歴史を振り返ってみても、あっちに夜鳥子、こっちにも夜鳥子。

夜鳥子がパーティーにいないとゲームが進まない、夜鳥子を転生させるまで待たなきゃいけない、あっちのボスを倒しても夜鳥子の話、こっちのストーリーを進めても夜鳥子の話、一族は恐ろしい呪いに耐え、頑張って戦いますが、ゲームの中でほとんど何も語られません。はっきりいってその他大勢、モブキャラのような扱いです。

これで嫌になっちゃうんですね。特に初代の俺の屍を越えてゆけを気に入って遊んでいて、ようし自分だけの一族の歴史を紡ぐんだ、と意気込んでいたプレイヤーほど、拒否反応は大きいんじゃないでしょうか。

いかがでしょうか、「これはちょっと嫌だな」と思った方には決してオススメしません。この記事もこれ以上読む必要はないでしょう。もし、最初からそういうゲームだと割り切るから、面白いポイントの方の話も聞いてみたいと思った方は、もう少しお付き合いください。
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