テクノポップ/海外のテクノポップ

共産テクノ番外編:ソ連のパクリ疑惑黒歴史

カヴァーだと思っていた共産テクノポップ・バンドのフォルムの曲は、実はオリジナル曲でした。ここに訂正すると共に、ソ連における現在まで判定可能となった、オリジナル偽装疑惑曲、つまりパクリ疑惑曲を紹介します。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

フォルム=コーギス

以前、初期ソ連のテクノポップ・バンドとしてフォルム(Форум)を紹介しました。そこで、フォルムの「Улетели листья(葉が飛んだ) 」をThe Korgisの「Everybody’s Got To Learn Sometime」のカヴァー曲として紹介しました。

ソ連のテクノポップ・バンド~フォルム (All Aboutテクノポップ)
whitenight

Белая ночь


まずは、フォルムのヴァージョンを聴いてください。

フォルム - Улетели листья(葉が飛んだ) (YouTube)

The Korgis - Everybody's Got to Learn Sometime (YouTube)

全く同じとは言いません。歌詞は、詩人ニコライ・ルブチョフ(Николай Рубцов)の「Улетели листья с тополей(ポプラの木から葉が飛んだ)」というロシア語の詩をもとにしています。ソ連、特にロシアでは、文学としての詩に対する造詣が深く、ロックにおいても詩人の詩が歌詞に使われたり、引用されることも珍しくありませんでした。YouTubeにアップロードした人のロシア語のコメントをよく見ると、「The Korgisからパクられた」とあります。最初は、あまりにもそっくりなので、僕は「The Korgisをカヴァーした」と勝手に解釈していたのです。

原曲は、The Korgisのジェームズ・ウォーレン(James Warren)が作詞作曲しました。1980年にシングル・チャートで本国英国では5位、アメリカでも18位まで行ったヒット曲です。さらに調べていくと、フォルムの方の作曲者は、アレクサンドル・モロゾフ(Александр Морозов)となっており、ウォーレンのクレジットはありません。さらに面白い事に、フォルムの曲が、ソフィヤ・ロタル(София Ротару)やヴィタス(Витас)といったアーティスト(共にウクライナ出身)によってさらにカヴァーされています。

 

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