社会との関係がゲイライフに与える影響
企業では今、社内でLGBTについての研修を行ったり、就業規定にLGBT差別禁止を盛り込んだり、社内にLGBTのグループができたり、LGBTの学生向けに就職相談会を設けたり、プライドイベントに協賛するなど、「ダイバーシティ&インクルージョン」と呼ばれる施策を打ち出す動きが活発化してきています(純日本的と思われているような企業ですらも)スマホのニュースアプリを見れば、当たり前のようにLGBT関連の記事が流れてきます。海外の同性婚のニュースだったり、石川大我さんのニュースだったり、ゲイマーケットや企業の動きだったり。
ぼくら世代の人たちは、長い間差別や偏見にさらされてきて、できるだけ周囲にバレないようにしよう、ノンケは決して仲間じゃない、みたいな感じでやり過ごしてきたところがあると思います。が、いつの間にか、ぼくらが思ってる以上に世間はフレンドリーになって(こちらを追い越して)いたのです。
振り返ってみると、1990年代までの運動は「抗議」の色合いが濃く、「世間は敵」だったのですが、2000年頃にはすでにパレードのお手伝いをしてくれたり、HIVのことで尽力してくれたりというノンケさんがいましたし、2000年代後半になると、メディアや行政や企業でLGBT差別をなくそうと奔走するアライ(支援者)も現れてきました。パレードや選挙などで世間へのアピールを続けてきたり、団体や活動家の方の働きかけのおかげもあって、少しずつ変わってきたんだと思います。「コミュニティと一般社会の幸福な結婚」です。
そうした時代を象徴する「東京レインボーウィーク」も今年で3回目。いっそう充実したものになりそうです。東京レインボープライドも(2002年以来の)2日間の開催となることが決定し、盛り上がりを見せそうな予感。各地のパレードや映画祭も楽しみですね。
石川大我さんは残念でしたが、4月には統一地方選があります。上川さん、石坂さんも継続を目指すと思いますし、名古屋の安間優希さん(虹色どまんなかパレードを主催する方)も市議選に立候補するそうです。ほかにもLGBTの候補が出馬するかもしれません。
このように、少しずつ時代や社会は変わってきて、まだまだ課題はありつつも、のびのび生きられる人、自由や幸福を追求できる人が増えてきたと思います。先日も新宿駅で手をつないで歩くゲイカップルを見かけましたが、そういう光景がどんどん、街中だろうとレストランだろうと、自然に当たり前になっていくといいなぁと思います。
一方、昨年、消費税が8%に上げられましたが、この影響は今春に倒産が相次ぐという形で現れてくると言われています。今もブラックな企業で働きずくめな方もいらっしゃるかと思いますが、会社自体が倒産し、失業…という方も出てくるのではないでしょうか。
そうでなくても、旧態依然とした(男社会の)職場で働くことがつらくなって離職したり、将来に希望を見出せなくなる方もいます。LGBTの貧困(あるいは引きこもりなど)や、メンタルヘルスの問題が、これまで以上にクローズアップされるようになるかもしれません。HIV予防啓発活動への予算が減らされ、各地のコミュニティセンターが閉鎖の危機にあることも、見逃せない問題です(詳しくはこちら)
また、こちらの記事にあるとおり、現政権与党は同性愛者の人権を認めていないようです(たいへん残念です)。ロシアほどではないでしょうが、五輪を口実に二丁目(とかクラブ)をつぶそうとするなど、何らかの抑圧的な動きもあったりするのでは…と心配になるのですが、考え過ぎでしょうか?
せっかく寛容になってきたこの国が、さらに自由で民主的な先進国になっていくのか、時代を逆行してファシズムみたいな専制国家になっていくのか…予断を許さない時期にさしかかっている気がします。