日本株型は円安が騰落率を底上げ
2013年の日本株型投資信託は、中小型株や新興市場株を投資対象とする投資信託の騰落率が、軒並み100%を超えるという近年にない良好な運用成績を確保しました。その反動からか、2014年の日本株投資信託の運用成績は及第点を確保できた程度でした。日経平均株価の年間騰落率が、7%と二桁に達しなかったことから致し方ないのかもしれません。そのため、日本株型投資信託の騰落率ランキング上位を占めたのは、純粋に日本株だけに投資するタイプよりも、通貨選択型、言い換えれば円安/外貨高で運用成績が底上げされた投資信託の運用成績がよかったのです。
図は騰落率ランキングのベスト10ですが、7本までが通貨選択型。20位まで見てもやはり7割近くが通貨選択型だったのです。しかも、同じ通貨選択型の投資信託の中で、異なる通貨がランクインするというやや寡占に近い状況なのです。
そんな中、騰落率40.14%で第1位に輝いたのは、SBIアセットマネジメントが運用する「SBI中小型割安成長株ファンド」です。同投信は、株価が下落した銘柄の中から、財務安定性に優れ、業績も安定しており、わが国の経済社会に貢献すると考えられる企業の株式に厳選投資されます。逆張り的な運用スタイルが功を奏したと言えます。
6本がランクインしている野村アセットマネジメントが運用する「野村日本ブランド株投資(通貨選択型)」は、9通貨、毎月分配型と年2回決算型の合計18本で構成されている投資信託。グローバルで高い競争力を持つ日本企業が投資対象であることから、昨年後半の大型株の上昇が運用成績に寄与したと考えられます。
運用成績の差は、決算期の違いや選択した通貨の違いによるものです。新興国通貨が好成績だったようですが、第2、3位の「アジア通貨コース」は、円売り、アジア通貨(中国、インド、インドネシア3ヵ国の通貨バスケット)を買う為替取引を行っています。
外国株型はインド、中国が占める
外国株型投資信託は、インド株、中国株でランキングベスト10を占め、ベスト20まで見るとフィリピン株が入ってくる状況です。ベスト10の騰落率は全て50%超ですから、日本株型投信信託のトップでも届かない程の良好な運用成績でした。話が少しそれますが、全ファンドでは、2013年は日本株型投資信託が騰落率上位を独占したことを考えると、1年で様変わり、言い換えれば騰落率上位を連続して続けるのは難しいと言えます。第1位は騰落率81.26%、T&Dアセットマネジメントが運用する「T&Dインド中小型株ファンド」です。インド株を投資対象とする投資信託は、中小型株式やインフラ関連企業の株式に投資する投資信託が好成績をあげています。
インドでは、2014年5月の選挙でナレンドラ・モディ新首相に変わったことから、停滞した経済が活性化し、再び高成長を取り戻すという期待感から株価は年間を通じて堅調に推移しました。その流れに上手く乗ったことが好成績の要因と考えられます。
中国の株式市場は、昨年前半がやや鳴かず飛ばずの雰囲気でしたが、年後半から中国本土のA株を中心に上昇。2014年11月の利下げ、原油価格の急落が株価の急騰に拍車をかけたようです。ただ、騰落率の上位にある中国株ファンドは、いずれもA株をだけを投資対象、あるいはA株を一部組み入れて運用されるタイプ。香港市場の株式で主に運用される中国株ファンドはランキングに入っていません。
2015年は始まったばかり。今年1年はどんな日本株型、外国株型投資信託が好成績をあげるのか、はたまた2014年に活躍した投資信託が2年連続して活躍するのか興味はつきません。また、2015年は騰落率100%超えが現れるのかも気になるところです。