絵本

自分でパンツがはけた誇らしさ『はけたよ はけたよ』

何でも自分でやりたがるようになる1~2歳代。思いは強くてもうまくいかないこともたくさん。パンツを1人ではこうとしてなかなかできなかった小さな男の子が、ある日はけるようになった大きなステップアップのお話『はけたよ はけたよ』。「自分で自分で!」の年頃のお子さんからもうちょっと大きいお子さんも、主人公の男の子を応援する気持ちで楽しめるでしょう。

執筆者:千葉 美奈子

1人でパンツがはけるって、ものすごい成長! 『はけたよ はけたよ』

何でも受け身だった赤ちゃんの頃から「自分」という意識が急速に芽生えて成長する1~2歳代。「自分でやるの!」という様子が見られるようになってくると、お母さん、お父さんは、「もうそんな気持ちが育ってきたんだ!」と嬉しくなりますよね。まだまだどうしても自分だけではできないのに、手を貸そうとすると断固拒否の態度には、急いでいる時などは大変。でも、小さな子が何かを達成するためにあれこれと工夫して挑戦する姿を見守るのは楽しいものです。

主人公のたつくんは、2歳前後でしょうか。片足で上手に立ち、パンツに足を通そうとするのですが、ふらふらしてなかなかうまくいきません。何度も何度もしりもちをついてばかりでやけくそ気味になってしまいます。『はけたよ はけたよ』は、そんなたつくんが、ふとした拍子にパンツを1人ではける方法を見つけ出すお話です。


 

主人公に自分を重ねる

1人でパンツがはけなくていやになってしまい、すっぽんぽんのまま外に飛び出してしまうたつくんは、色々な動物たちにじろじろ見られます。この世代のお子さんにはまだオムツが取れない子も少なくなく、オムツ替えの後にすっぽんぽんで部屋を走り回る子もいますよね。お母さんやお父さんに追いかけられるとどんどんかたくなになってしまうような子も、絵本の中で動物たちに注目を浴びてしまうたつくんの様子を通して、プライベートな部分はちゃんとしまわなきゃ、という思いが刺激されることもあるようです。「パンツなんかはかないや」とおうちを飛び出したはずなのに、一本足で上手に立っているさぎのまねをするたつくんのけなげな様子には、グッときます。

子育て中の方で、ご自身が小さな頃にこの絵本に出会った方もいるのではないしょうか。初版から40年たっても小さな子どもたちに親しまれ続ける絵本です。


苦労の後には大きな喜び!

登場シーンは少ないけれど、この絵本のキーパーソンはお母さん。たつくんが片足を上げて何度もしりもちをつく様子も家事をしながら見守り、外からお尻を汚して帰ってきたら「パンツもはかないで、どこへいっていたの」と笑顔でミシンをかけています。実際に我が子がすっぽんぽんで外に飛び出したら一大事ですが、もしかしたら、たつくんが外に飛び出して動物たちと出会っていた時間は、おうちの中を放浪していた時間なのかもしれないと、微笑ましくなります。

さて、ひょんなことからパンツを1人ではけるコツをつかんだたつくん。そのコツとは何でしょう!? こんなあれやこれやの試行錯誤の後に1人でできるようになる体験って、子どもたちにたくさんさせてあげたいな……。常に何かに挑戦している小さな子の姿が一層愛しく思えそうな絵本です。
 
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