4月 パンテーラの現代に通じるポテンシャルの高さに感動
岡山県を舞台に走るクラシック&スーパーカーラリー、ヴェッキオ・バンビーノにデ・トマソ・パンテーラで出場。現代にも通じるポテンシャルの高さに感動した。このクルマを設計したのは、かの、ジャン・パオロ・ダラーラだ。2014年は8月のモントレーと11月の京都、計2回もご本人と話す機会があったが、パンテーラの基本性能の高さは彼自身も認めるところで、いくつかの欠点さえ克服すれば、現代にも通じるクルマであることを熱く語っていたことが印象に残っている。
強烈な体験といえば、月末にC2コルベット427と、シュパンポルシェ962に試乗した。60年代を代表するスポーツカーと、80年代のレーシングテクノロジーを詰め込んだロードカー。そのキャラはまるで違うものの、あまりに暴力的な加速フィールに、これはマトモな人の手に負えるもんじゃないという認識で一致。
新型ミニにも初めて試乗した。大きくなって、よりフツウのクルマに近づいたけれども、アシ回りのしなやかさなどは従来型と別次元のレベルに達していた。BMWはFF造りも随分巧くなったと、感心。
5月 EVでも乗って楽しいクルマは作れる
5月はBMWづくしだった。まずは西海岸でi8の市販仕様に試乗し、静かなるスーパーカーの実力を堪能。そののち、ポルトガルへ飛んで新型M3&M4にも乗った。
まるで真逆のスポーツカー、けれども同じブランド。通底するのは、ドライビングファンであり、その20世紀的な悦び(M3&M4)と、未来的な楽しみ(i8)は、決して、乖離したものじゃないと再認識。要するに、あくまでもドライバーの実感がファン・トゥ・ドライブのすべてなのであって、クルマのシステムやファンクションがそれを決めるのではないということ。ドライバーが期待する思いに応えるべく、クルマをどう作るか、が問題だということが、はっきりした。EVでも、乗って楽しいクルマは作れるのだ。
ポルトガルからモナコへ。クラシックF1のレースを観戦し、なんとそこで、ラッキーにも君が代を聞くことができた。一週間後に控えたモナコGPの施設を使って行なわれたヒストリックF1レース。ロータス72を駆る日本の久保田選手が優勝してみせたのだ。モナコに初めて流れた君が代。涙が出た。
そしてさらに、モナコからイタリアへ。ミッレミリアに出場するためだ。マシンはBMWクラシック所有の1938年式328ロードスター。いわばワークスチームで伝統と格式の世界最高峰クラシックラリーに出場できたという僥倖は、今年イチバンの思い出だったと言っていい。
6月 ウラカンは新時代のランボルギーニ
6月に入ってもクラシックモードが続く。ラリーニッポン横浜ラウンドやスプレンドーレ伊香保ラリーに、ランボルギーニイスレロで参戦。ミッレミリアの余韻に浸りつつ、日本のラリーを楽しんだ。久しぶりにブガッティEB110にも乗ることができた。究極のクンタッチ(カウンタック)だと、今でも個人的な思い入れがとても強いモデル、3L 12気筒クワトロターボの加速は今なおユニークなフィールで、個室新幹線のよう。こういうクルマ(容姿の異様さも含めて)が、リアルスーパーカーだ。
メルセデス・ベンツGLAやマクラーレン650Sにも試乗したが、6月で最も印象に残っている新型モデルは、やはりランボルギーニウラカンだろう。イタリア・サンタガータボロネーゼからフランス・ポールリカールサーキットまで、アウトストラーダ&オートルート&サーキットを“全開”で走った。ラグジュアリィとスポーツの両立を果たした、新時代のランボルギーニである。