アンテナ基地局

屋上にアンテナ基地局を設置するマンション

昨今、マンション管理組合が税務署に収益事業の申告漏れを指摘されるケースが増えているようです。

必要な申告をせずに放置し、後になって税務署から申告漏れを指摘された場合には、追徴課税として数年分に遡って約3割増しの税金を支払うよう求められることがあります。

この背景として、屋上に携帯電話用のアンテナ基地局を設置したり、敷地内駐車場を外部に貸し出すことで収益を上げるケースが増えてきている一方、管理組合が税務に関する知識を持ち合わせていないために、必要な申告を怠ってしまうことがあると思われます。

マンション管理士として適切なアドバイスができるよう、管理組合に関する課税の要件や仕組みの基本を理解しておく必要があります。

管理組合が課税されるケース

管理組合の本来の業務とは、組合員から徴収した管理費・修繕積立金等によってマンションの共用部分等の管理を適切に行い、組合員共通の利益を図ることです。

このようないわば共済的な事業には課税されることはありませんが、それ以外の収益事業を行った場合には、一般企業と同様に課税の対象となります。

収益事業に該当する事業として管理組合に多く見受けられるのは、自販機収入や、広告看板・携帯基地局設置等の貸付け、駐車場の外部貸しなどです。

管理組合に課される税金と課税のしくみ

マンション管理組合は、PTAや同窓会などと同様、目的を同じくする人たちの集まりとされ、法律上は「個人の集合体」と扱われます。

しかしながら、税法上においては「人格のない社団等」と定義され、「法人とみなす」ことになっています。したがって、課税の事実が生じれば法人税が課されます。

では、収益事業に対して具体的にどのように税金がかかるのか、下記の事例にもとづいてご紹介します。
  • 前提条件
  1. 駐車場40台のうち、空き10区画を月額15,000円/台で外部(区分所有者以外)へ貸し出します。
  2. 機械式駐車場のため、保守メンテナンス費用や電気代がかかるものとします(空き区画10台分について、年間480,000円の支出)。
  3. 税務申告業務を、税理士に委託します(年間120,000円の支出)。
  • 課税所得
課税の対象となる所得は、駐車場収入から必要経費として保守メンテナンス費用と税理士委託料を差し引いて求めます。

駐車場収入=15,000円×10台×12ヵ月=1,800,000円/年

課税所得=1,800,000円ー(480,000円+120,000円)=1,200,000円

・納税額
この課税所得120万円に対してかかる法人税、法人事業税、住民税等を計算すると、納税額は約36万円となります。
したがって、課税所得に対しておよそ3割の税負担がかかることになります(※経費の多寡によって税負担割合は変動します)。

駐車場

駐車場の外部貸しも増えています

駐車場の外部貸しに関する留意点

マンション内の駐車場の賃貸事業に対する課税については、外部に貸し付けた部分のみが課税対象となるのか、駐車場収益の全体が課税対象となるのかがこれまで明らかではありませんでした。

しかしながら、平成24年2月に国税庁の見解が示され、次の2つの要件を満たす場合には、外部(区分所有者以外)に貸し付けた部分のみを課税対象としてよいことになりました。

【要件1】 区分所有者に優先して駐車場を使用させる

区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部への貸出しを行うこととし、区分所有者から駐車場の使用希望があったときには、一定の期間(例えば3ヵ月)以内に外部使用者が明け渡すという条件を付けることが必要です。

【要件2】 外部貸しで得た収益を区分所有者に分配しない

駐車場の外部使用に係る収益を、区分所有者に還元せずに、管理費または修繕積立金に充当しなければなりません。

これらの要件を満たさない場合、駐車場の収益全体が課税対象となり、法人税額が大幅に増える可能性があるので注意が必要です。

マンション管理士は税の専門家ではありませんが、管理組合が課税の事実を正しく認識して不必要なリスクを負うことがないようよう、適切に助言することが求められます。



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