パーク・ホテル・ヴィッラ・グラツィオーリ
16世紀にさかのぼる枢機卿の館を改装したホテル「ヴィッラ・グラツィオーリ」 (c)Ewa Kawamura
カステッリ・ロマーニ(Castelli Romani)は、ローマから南東の方角にある丘陵地エリアで、アルバーノの丘に連なる町々を含みます。ここは、ルネッサンス時代からバロック時代まで、ローマ貴族や聖職者たちの夏の避暑地として発展しました。なかでも壮麗な別荘群の集中するのが、ローマから約30kmに位置するフラスカティ(Frascati)という町です。そのフラスカティの旧市街から、ほど近いところにある元枢機卿の歴史的な館が、今回紹介する「パーク・ホテル・ヴィラ・グラツィオーリ」で、カステッリ・ロマーニのエリア内で最も素敵なホテルです。
館が建てられたのは1580年。最初の主は、枢機卿アントニオ・カラーファ。その後、度重なる改築を経て、数々のローマ貴族出身の枢機卿たちの住処となり、19世紀の最後の所有者である公爵ピオ・グラツィオーリが、現建物の呼称「ヴィラ・グラツィオーリ」の由来です。正面ファサードには、グラツィオーリが買った時代にローマ法王だったグレゴリウス16世の紋章が掲げられています。
館内に残るバロック時代のフレスコ画の数々!
パニーニのフレスコ画の残るバロック様式の大広間のギャラリー (c)Ewa Kawamura
客室は、本館の3階と離れにあり、1階にはレセプションと数々の広間とバールがあり、2階が「ピアノ・ノビレ(高貴な階)」と呼ばれる天井の高いメインフロアです。ここに目を見張るバロック時代の内装が残る回廊(ギャラリー)があります。フレスコ画は、16~18世紀に活躍した名だたる画家たち、カラッチ、チャンペッリ、パニーニらの工房作と推定され、バロック時代に流行した建築的なだまし絵(クワドラトゥーラ)で描かれている壁画もあります。
レストランと朝食の場所は、正面ファサードからみると地下にありますが、丘の斜面に沿って傾斜したところなので、庭に面していて明るく、食事も美味しく、ローマっ子の結婚披露宴会場としても人気が高いホテルです。広大な庭の一角には屋外プール(夏季のみ)もあり、避暑リゾートとしても楽しめます。ホテルのランクは4つ星。スモール・ラグジャリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールドの加盟店ですが、その中でもとくにリーズナブルな価格設定となっています。
ワインの町フラスカティへのアクセスが便利
建築的だまし絵(クワドラトゥーラ)の壁画のある部屋 (c)Ewa Kawamura
住所はグロッタフェッラータ(Grottaferrata)市になりますが、先にも述べたよう、フラスカティの町のほうに近く、ホテルの無料送迎バスは、フラスカティの旧市街と定期的に接続・運行していて、ワインでも知られるフラスカティ観光にも便利です。なおフラスカティまでは、ローマから電車で30分で行かれます。
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■Park Hotel Villa Grazioli(パーク・ホテル・ヴィッラ・グラツィオーリ)
住所:Via Umberto Pavoni, 19, 00046 Grottaferrata RM
TEL:+39 06 945400
料金:80ユーロ~