知ることから始める
家をつくろうと思うきっかけは家族が増えたり、それまで住んでいた家が古くなったりと理由はさまざまです。一般的に大きな理由となるのは子育てのためではないでしょうか。その根底には家族を守りたいという意識があるのだと思います。一方、近年一人暮らしでも中古住宅やマンションを購入し、趣味を活かしたリフォームをして快適に一人暮らしを楽しんでいる人もいます。いずれにしても用意された正解はないのが家づくりともいえます。
まずは建物の規模や予算も大切ですがその前に自分や家族を知ることから始めることも重要なのです。
自分を知る
家づくりは自分の人生に対していくつもの質問状を受けとることです。しかし私達はどれだけ自分のことを知っているかといえば、あまり知っていないかも知れません。たとえば自分に関して20項目を書けと言われても、16、17くらいで止まってしまうでしょう。(職業、趣味、座右の銘、好きな四字熟語……を書いていきます。)人は自分自身に質問を投げかけるようにすると、自分自身から解答を引き出すことができるようになるものです。
住まいづくりにおいても同じようなことが言えます。子どもに自分の想いを込めたメッセージを残したいのなら、そのメッセージを込めたデザインをしなければなりません。
たとえば、自分が小さい時に田舎で遊んだ裏山の木を子ども部屋に使うとか、建て直しであれば元の家の部材を再利用して、想い出を伝えるなどです。やがて子どもが成長した際に、その意味をきっと理解してくれるはずです。
ただ流行のデザインばかりでは、やがては古くなってしまいます。同じ古くなるものでも古美(こび)ていく美しさを求めた材料の選択をすることが大切です。
続いて、愛着がうまれやすいところについてお話しします。