ピコピコカケラ村のヒトビト
ガイド:2014年の10月15日から26日まで枚方市のソーイングギャラリーで「ピコピコカケラ村のヒトビト」という展示を立体制作アーティストの菊川法子さんとされており、僕も二日目に伺って楽しませて頂きました。菊川さんは原始人活動とかもされているユニークで楽しい方ですが、一緒にこの展示をやろうとしたきっかけとかあれば、教えてください。
松前:
ありがとうございました。菊川さんとは数年前に知り合ったのですが、どこにでもある日用品や、ガラクタ、ゴミになってしまいそうな様々な部品を「カケラ」ととらえて、そのカケラを組み合わせる事で立体の人形を作る。その可愛らしい作品を見せてもらった時に、とても気に入ったのと同時に、自分のソロの作品が絶対に合いそうだって思ったんです。
以前、漫画家の鈴木志保さん(船を建てる、他)の展覧会の為にBGMを担当した時、99曲入りのCDを作った事があって。99っていうのはCDプレイヤーのトラック番号の表示が二桁なのでその最大の曲数って事ですね。99体のカケラ人形を展示して、その人形全員にそれぞれのテーマ曲を作って99曲の曲を流せたらどうかと思ったんです。数のチカラ、ってあるでしょう?実は僕の作品は以前から短い曲が大量っていうのが多かったんですね。過去のソロ作品、デモ作品をまとめた「あなたはキツネ」(1~4)もかなり曲数が多い。実は一曲一曲を丁寧に仕上げる事よりも、一曲を作ってる時にあまりに時間がかかりすぎてしまうと、もう次の曲を作りたくなっちゃうんですよ。飽き性なんですが、それをプラスに利用しようと。
あといろんな作品で、大量のサンプリング素材を用意してコラージュする手法はよく使います。「とにかく大量」「過剰」なのが、好きなんですね。あ、さっき「バランス」の話したばっかりだけど、やっぱり「やりすぎ」が好きなのかな… まあ、それで今回、展覧会を開催する事になって、99体のカケラ人形を展示して、そのテーマ曲をプロジェクターで各人形を紹介しながら、会場のBGMとして鳴らす形の展示を行いました。音楽を展覧会場で流して「二人展」っていうのもあまり多くはないと思うのですが、やはり人形があって、テーマ曲がそれぞれにある、っていうのが、大きなコンセプトなので。
ピコピコカケラ村のヒトビト (kikupppage)
カラケビトの命名
ガイド:99人のカラケビトの一人一人に名前がついています。菊川さんに訊いたところ、9割ほどは松前さんの命名だと。「しゃべらない男 ウラジミーロ・ホレミーロ」「雲念寺 京子」「透明猿 フェデリコ・モンチーニ」などなど、どれもインチキ臭くって素敵です。これは出来上がった作品を見てから命名したのでしょうか?
松前:
はい。音楽と立体がほぼ出来上がったタイミングで一気に全て命名しました。修正があったら自由にしていいよ!って形で送ったんですが、菊川さんも気に入ったみたいで、そのまんまのものが多かったみたいですね。
ガイド:
曲名を考えるのが大変というのはよく聞くのですが、99曲となると…
松前:
そうなんです。まあ辞書とか使ってすごく苦労しながら考えるんですが、今回は「名前」だから、まずそのカケラ人形がどこの国の人か?って事を考えたんです。あ、カケラ村の人だから、厳密には皆「カケラ村」の人なんだけど… イメージとしてね。それで、ドイツ人に多い名前、とかそういうのを調べて、組み合わせたり、変えたりしながら作りました。
ガイド:
一人、51番ですかね、変なヒトがいますね。
松前:
カケラ村のヒトビトがこの世界を作っている設定なので、この立体を作ったり修理する人形、みんなのテーマ曲を作る事を仕事にしている人形も設定した訳です。それで、その名前が「キミトーニ・マツローニ」という名前に(笑)。