神戸空港のアースクロック
ガイド:では、松前さんの作品の話をしましょう。
2006年2月16日に神戸空港が開港しました。空港の出発ロビーにある大時計、アースクロックの時報音を製作されたんですよね。ブライアン・イーノは『Music for Airports』を作りましたが、飛行場で流れる音楽を製作するというのは、なんだか夢があっていいですね。
アースクロック (Living World)
アースクロック・レポート その2:サウンドデザイン編 (Living World)
松前:
はい。大阪に戻ってきて、ちょうどよかったのですが、仕事自体は元々、20代京浜兄弟社時代に友達だった西村佳哲くんからの、つまり東京からの依頼だったんです。プロジェクターを使って円形の地球と時計が表示されます。地球の表示は実際にその日その時間の昼夜がわかるように影がついています。いわば自然の時計表示ですね。一方で分報を鳴らすタイミングで60分全て別々のデザインの時計が表示されます。この分報の音、そして時報の音を作りました。分報なんだけど、これは環境音楽的な考えで言えば、テンポ1の音楽みたいな事(笑)。1分に1音、60分かけて1曲が鳴るような感じですね。1分に1音じゃあメロディとして認識するのは不可能ですが。
ブライアン・イーノの『Music for Airports』も大好きですが、特に影響を受けなくても、実際に空港という場所でお客さんや、放送が入る事をイメージすると、やわらかいサウンドが合うな、と思いました。
アースクロック・デザイン
ガイド:
今も神戸空港で聴けるのですか?
松前:
残念ながら今は、この時計は動いていない様です。