年金

35歳まで!年金加入期間を必ずチェック~2010年度版

ねんきん定期便や日本年金機構のHPで調べやすくなった公的年金の加入期間。「年金は年をとってからのもの…」と思っていると意外な落とし穴が!「35歳」までに加入期間を1度確認しておくと、将来の年金がもらえないことを防止することができます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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若い世代には遠い将来の「年金」かもしれませんが、30代でも重要な確認事項があります

若い世代には遠い将来の「年金」かもしれませんが、30代でも重要な確認事項があります

このサイトでは、日本の公的年金制度に「世代間扶養」という特徴があることをご案内しました(世代間扶養のしくみは「老後資金の準備を考える前に~年金の基礎を押さえよう!」をご覧ください)。日本の公的年金制度では、自分が納めた保険料は自らの受給する年金の財源になるのではなく、高齢者世代の年金の財源に充てられていますが、現役世代は保険料を納付することで将来老齢年金を受給するために必要な「受給資格期間」を満たすことができます。今回は、将来老齢年金を受給するために必要な受給資格期間についてご案内します。

<INDEX>
なぜ「35歳」?~受給資格期間と「35歳」の関係
受給資格期間のカウント
事例で検証~受給資格期間
 

なぜ「35歳」?~受給資格期間と「35歳」の関係

老齢年金の受給資格期間とは、将来老齢年金の受給するために最低限必要な公的年金の加入期間のことです。公的年金には第1号から第3号までの被保険者の種別がありますが、種別を問わず、公的年金に加入していた期間を合計して原則25年以上あれば受給資格期間を満たすことができます。

受給資格期間を満たすには25年以上の加入期間が必要ですが、公的年金に加入できる年齢は制限があります。第2号被保険者は原則65歳未満の厚生年金の被保険者または各共済組合の加入員ですが、第1号被保険者と第3号被保険者は20歳以上60歳未満を加入対象としています。もし、第1号被保険者や第3号被保険者に該当する人が35歳まで年金制度に加入したことがないと、35歳を過ぎてから年金制度に加入しても60歳までに受給資格期間の25年を満たすことができません。受給資格期間を満たすことができないと、老齢年金は全く支給されず、35歳を過ぎてから全期間保険料を納付しても保険料は掛け捨てになってしまいます(ただし、一定の救済措置はあります)。このような事態を防ぐためにも、35歳までに自分の公的年金の加入期間をきちんと把握しておくことが重要です。

また、今年度はねんきん定期便が35歳・45歳・58歳の人には、昨年同様、詳細な加入履歴が確認できるものが送付されます(その他の年齢の人には年金見込額などは今年更新した金額、保険料納付状況は直近1年間の状況が案内されています)。確認しておくとよいでしょう。
 

受給資格期間のカウント

受給資格期間を満たすには被保険者の種別を問わず合計した加入期間が25年以上必要ですが、加入期間に算入できる期間は「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」と「合算対象期間」の3つの期間です。それぞれがどのような期間をさしているのかをみていきましょう。

●保険料納付済期間
第1号被保険者は、自分で保険料を負担・納付しなければないので、保険料納付済期間は保険料を全額納付した期間になります(保険料は毎月15,100円、平成22年度額)。

第2号被保険者は毎月の給与及び賞与から厚生年金の保険料が天引きされていますが、天引きされた保険料の中から一部が基礎年金拠出金として国民年金の給付に充てられています。第2号被保険者は個別に国民年金の保険料を負担していませんが、厚生年金の保険料を天引きされている期間はすべて保険料納付済期間になります。また、子育てのため育児休業を取得すると厚生年金の保険料が全額免除されますが、この期間も保険料納付済期間に算入します。

第3号被保険者は、個別に保険料を納付する必要がありませんが、第3号被保険者の期間はすべて保険料納付済期間に算入されます。第3号被保険者の公的年金の手続きは被保険者本人ではなく、第2号被保険者である配偶者の勤務先が行います。結婚や出産を機会に仕事を辞め、専業主婦になる場合など被保険者の種別が第3号被保険者に変わるときは、夫の勤務先に年金手帳を提出し、種別変更の手続きを速やかに取ってもらいましょう。

●保険料免除期間
保険料免除期間は、第1号被保険者の保険料免除期間をさします。現在、保険料免除には全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4種類がありますが、どの免除を受けていた期間もすべて保険料免除期間に算入されます。なお、保険料の免除を受けた期間はさかのぼって10年まで保険料を納めることができますが(保険料の「追納」といいます)、免除を受けた後保険料を追納するとその期間は保険料納付済期間に算入します。

●合算対象期間
合算対象期間は「カラ期間」とも呼ばれる期間で、年金額には反映しませんが、受給資格期間には算入できる期間です。受給資格期間(以降「カラ期間」)にあたる期間は、昭和61年3月以前と昭和61年4月以降の期間に分けることができます。

昭和61年3月以前のおもなカラ期間は、国民年金に加入することが義務ではなかったので入らないことを選択した期間です。現在の年金制度は、昭和61年4月に始まった制度で、昭和61年3月以前の年金制度は「旧法」の期間になります。旧法の年金制度では、現在第3号被保険者に該当する専業主婦は国民年金が任意加入でした。そのため、年金制度に入らないことを選択する人も多く、昭和61年4月以降の第3号被保険者期間のみでは受給資格期間を満たせなくなります。このため、国民年金に加入しないことを選択した期間をカラ期間として受給資格期間に算入することができます。

また、旧法では学生も任意加入の対象だったので、20歳以上の学生で未加入だった期間もカラ期間になります(学生の未加入期間は平成3年3月までカラ期間に算入可)。

なお、旧法では会社を辞めて厚生年金の被保険者資格を喪失するとき、脱退手当金を受給することで保険料の精算をすることが認められていました。脱退手当金を受給して保険料を精算した期間もカラ期間となります。

なお、学生の納付特例期間と若年者の保険料納付猶予期間は、保険料の全額が免除されますが、この期間は一般の保険料免除とは違って、10年以内に保険料を追納しないと、受給資格期間には算入することはできますが、年金額には反映されない期間になりますので注意が必要です。

この3つの期間を合計して25年以上になると、老齢年金の受給資格期間を満たすことができます。
 
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