記憶はしやすく試験では確実に。図表として覚えることで問題への対応力が上がります。
理学療法士国家試験は、一問一問の正答を確実に積み上げることが重要なのは言うまでもありません。そこで今回は、記憶する労力を最低限にし、とれる問題を確実にとる勉強法を「股関節の靱帯作用」を例に御紹介します。
股関節の靱帯作用とは?
解剖学において出題される股関節の靱帯作用。股関節の靱帯は大きく4つありますが、作用を覚える場合、腸骨大腿靱帯を上部と下部にわけて考えますので、合計5つとして考えます。股関節の靱帯は、股関節の動きを制限する作用があり、この制限方向について過去の国家試験では出題されています。まずは文章ベースでその個々の靱帯の作用を見ていきましょう。- 腸骨大腿靱帯上部:股関節伸展、内転、外旋を制限 ※特に内転を制限
- 腸骨大腿靱帯下部:股関節伸展、外転、内転、外旋を制限 ※特に伸展を制限
- 恥骨大腿靱帯:股関節伸展、外転、外旋 ※特に外転を制限
- 坐骨大腿靱帯:股関節伸展、外転、内旋
- 大腿骨頭靱帯:股関節内転
無論、現場で働く将来の事を考えると正しい事なのですが、国家試験で確実に得点をとる為に覚えたい!というのであれば、以下の方法だけで覚える事も可能です。
股関節の靭帯作用を図表にして整理する覚え方
まずは、下記のような表を描きます。正確にお伝えする為に、ここでは靱帯名などしっかりと表記していますが、御自身で書く際は文字を略しても結構です。また、表の枠も綺麗に描く必要はありません。位置関係がはっきり分ければ大丈夫です。表は上部項目と横項目を正確に覚える必要があります。上部項目はMMTなどで学んだ関節の動きそのままですので、覚えるのはさほど苦労はしないと思います。横項目は上から順番に頭文字だけで"腸(上下)恥坐大"と覚えてしまえば楽になると思います。
股関節の靱帯作用の表を書く際に、必ず思い出して欲しい前提条件があります。それは「股関節の靱帯は屈曲には制限が働かない。伸展で一番制限が働く」という条件です。これを念頭に入れると表が下記のようになります。
この後ある法則を使います。 その名も「++の法則」(ダブルプラスの法則)です。この法則の重要な点として、股関節の動作方向の中で最も制限が働く靱帯を++と表記する形になります。この++の位置を覚える事が大事なのです。それを反映したのが下記になります。
++の位置が大事な理由。それは++の上下は必ず+になるというところにあります。下記をご覧ください。
その後、前提条件である「伸展で一番制限が働く」というのを思い出してください。一番制限が働くのに外転や内転と+の数が一緒というのはおかしいですよね?そこで伸展にはひとつ+を加えます。
伸展で一番制限が働くという事を考えると+の数が少ないです。そこで坐骨大腿靱帯にひとつ+を足します。大腿骨頭靱帯と間違えないようにする為には、隙間を空けずにひとつ足し、大腿骨頭靱帯は内転に+をひとつだけだから書き足さないと覚えてしまうと、よいでしょう。
ここまで終わったら外旋を埋めます。
そして最後に内旋です。 これで完成になります。この表がすぐに描ければ下記のような問題は確実に解く事ができるでしょう。
a.股関節外転と外旋を制限する靱帯はどれか。2つ選べ
- 腸骨大腿靱帯上部
- 腸骨大腿靱帯下部
- 大腿骨頭靱帯
- 恥骨大腿靱帯
- 坐骨大腿靱帯
⇒問題a.の答え:作り上げた表を見ると、外転と外旋の両方に制限が働いているのは、腸骨大腿靱帯下部と恥骨大腿靱帯になります。よって答えは2.4です。
b.股関節内転を最も制限する靱帯はどれか。
- 腸骨大腿靱帯上部
- 腸骨大腿靱帯下部
- 大腿骨頭靱帯
- 恥骨大腿靱帯
- 坐骨大腿靱帯
⇒b.の問題の答え:内転を最も制限するというのがポイントです。ここで表を確認すると内転に++がつくのは腸骨大腿靱帯上部です。よって答えは1になります。
今回お伝えした方法は、数回繰り返すだけで簡単に覚える事ができますので是非、お試しください。また、今回の例はひとつの事例であり、他にもこういった覚え方を自分で作り出すことができるかもしれません。創意工夫で確実に点をとっていきましょう。
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