記憶のシステムから考える

勉強し学習していくという事は、物事を脳に記憶していくということです。理学療法士を目指す人の場合、勉強という手段を通じ、人体の仕組みや病態生理、評価法などの必要知識を記憶していると言えるでしょう。

そういった視点から、勉強に関して効率を上げるには、まず記憶のシステムを理解するのは重要です。理学療法士に必要な脳機能の勉強としても大切になりますので、今回は記憶の種類についてご紹介致します。

記憶の分類をひも解く

記憶のシステムは大きく以下のように分けられます。
KIOKU

複数ある記憶パターン。勉強が苦手な人はひとつの記憶パターンしか活用していないことが多いです。また、年齢に応じて効果的な記憶法は変わっていきます。

短期記憶や感覚記憶は、その場かぎりですぐに消されてしまう記憶ですので勉強における重要性は当然低くなります。長期記憶には図にあるとおり複数の種類がありますが、勉強が苦手な人は往々にして意味記憶だけに偏ってしまう傾向にあります。

意味記憶とは、体験による特定の場所や時間に無関係な言葉や概念など一般常識を含む記憶をいい、例えるならば「腓腹筋の支配神経は脛骨神経」といった客観的事実などがこれにあたります。ところがこの意味記憶の力は年齢により変化していく事を御存知でしょうか?
意味記憶は、子供の頃などは文章の意味などをあまり気にせず、丸暗記が得意であり、意味記憶の力がとても強いとされています。ただ、成長すると意味記憶の力は衰えていき、丸暗記が難しくなっていきます。それと反比例して伸びていくのがエピソード記憶になるのです。
※参考文献:池谷裕二(2009)「記憶力を強くする~最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方」より
理学療法士を目指し養成校に通う方々の年齢は18歳以上。と、なると上記で述べた事からもわかるように子供の頃に比べ、意味記憶の力が徐々に失われつつある状況と言えます。これが社会人出身者であればなおのことです。この点から意味記憶だけよりもエピソード記憶などを駆使した方が記憶に残りやすい事が伺えます。ではエピソード記憶とはどういったものなのでしょうか?

エピソード記憶とは?

エピソード記憶は個人的体験や感情を伴った出来事、経験の記憶になります。皆さんは思い出の風景や思い出の品というものがありますか? それを見ると、誰とその風景を見たか?思い出の品をどういう状況で誰にもらったか?というのが感情を伴って思い出されることってないでしょうか?これがエピソード記憶になります。では、それをふまえてエピソード記憶を駆使した勉強法の具体例をみていきましょう。

エピソード記憶型の勉強法

エピソード記憶を使う勉強法は関連付けが如何にできるか?が、ポイントになります。例えば、上腕二頭筋の主作用を覚えるのに「肘関節屈曲」とだけ覚えるのは意味記憶ですが、過去に自分が鉄アレイなどを持ち、筋トレの為に肘を曲げ伸ばしし記憶があれば、「その時の動きが上腕二頭筋の作用だ」というように関連して思い出す事ができます。

また、ストーリーやテンポを作りこじつける方法もあります。その典型的な例が語呂合わせです。語呂合わせは、記憶したい内容を身近なものにこじつける事が多い勉強法です。具体的にはストーリー仕立てにした文節の中に言葉を落とし込む感じになります。

その点を考慮すると、語呂合わせは作った人間が覚えやすいようにできています。人が作ったものを覚える場合は、文節だけを記憶する事は意味記憶となってしまうので、語呂合わせを作った人のストーリーをしっかりイメージする事が強い記憶の強化に繋がります。

今回は意味記憶とエピソード記憶の仕組みをメインに御紹介させて頂きましたが、次回は手続き記憶とプライミング記憶についてご紹介いたします。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。