グランド・ホテル・パラッツォ・デッラ・フォンテ
グランド・ホテル・パラッツォ・デッラ・フォンテの外観 (c)Ewa Kawamura
ローマから電車で約1時間、車で45分の位置にあるフィウッジ温泉。スーパーでガラス瓶入りでときどき見かけるあの名水の里です。そんなフィウッジは、温泉施設やホテルの集中する新市街フィウッジ・フォンテ(Fiuggi Fonte)と丘の上にたつ中世の街並みを残す旧市街フィウッジ・チッタ(Fiuggi Città)の二つのエリアに分かれています。フィウッジの温泉療養は「飲む」温泉で、湯船につかるタイプではありません。ですから各ホテルのプールも温泉水ではありませんが、町のレストランでは必ずフィウッジの水を用意しています。
いわゆる温泉セラピーは、新市街にあるメ インの温泉施設「ボニファティウス8世の源泉(Fonte Bonifacio VIII)」へ行って、汲みたての温泉水を、施設内の広大な森のような庭園のなかを散歩しながら飲みます。新市街といっても20世紀初頭に開発された町なので、ベル・エポックなリバティ様式(イタリア版アールヌーボー)の建物も多く、今回紹介するグランド・ホテル・パラッツォ・デッラ・フォンテもその一つ。「フォンテ(源泉)」の名のとうり新市街にあり、敷地の裏手からは、フィウッジの旧市街(チッタ)の全景パノラマが見えます。
優雅なリバティ様式の建築
リバティ様式で装飾された宴会用の大広間 (c)Ewa Kawamura
広大な敷地と庭に囲まれた贅沢なこの巨大ホテルは、町のシンボルでもあり、建物は1913年の築のリバティ様式です。 外観は、中世ロマネスク建築にみられるビーフォレ(2連窓)、トリーフォレ(3連窓)もあって、ネオロマネスク風のデザインですが、最上階のフレーズのフレスコ壁画に、花模様と女性たちの絵が描かれていて、そこにリバティ様式の特徴がよく表れています。宴会用の大広間も同様式で、女性像の漆喰彫刻の間に、4つの大陸(ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジア)を表した寓意的なフレスコ画があります。
ホテル内のレストランの食事は、フィウッジの位置するチョチャーリア地方の郷土料理をベースに洗練させたもので、とても美味しいです。その隣りには落ち着いたピアノバーもあり、食後の温かい飲み物はそちらへ移動して、雰囲気を変えて楽しむこともできます。朝食もサラダから様々な種類のケーキまでバラエティ良く取り揃えています。
プールは水深も歴史も深い!
グランド・ホテル・パラッツォ・デッラ・フォンテの美しい屋外プール (c)Ewa Kawamura
プールは、屋内の温水プール(30度で通年)と屋外のプール(夏季のみ)の2種類があり、屋外のものは1936年にできた、イタリアで最も初期にあたる歴史的なプールです。メンテナンス良く、時代を全く感じさせぬ美しさで、直径25メートル、幅13.5メートル、水深は1.30~3.40メートルと、深いエリアも広くあり、のびのび水泳も楽しめる贅沢なプールです。もちろん屋内にはジャグジー、エステサロン、ジムも完備しています。なお各客室の浴室は、すべてカッラーラ産の大理石張りです。
ホテルの格付けは5つ星Lクラスにもかかわらず、リーディング・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド加盟店のイタリアのホテルのなかで、おそらく一番リーズナブルな価格帯でしょう。
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■Grand Hotel Palazzo della Fonte(グランド・ホテル・パラッツォ・デッラ・フォンテ)
住所:Via dei Villini, 7, 03014 Fiuggi (FR)
TEL:+39 0775.5081
料金:250ユーロ~