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ゲーム実況はふんわり黙認からきちんと許諾へ

任天堂が、2014年12月1日より、250以上のタイトルにおいてニコニコ動画の「クリエイター奨励プログラム」に対応することを発表しました。簡単に言えば、任天堂のゲームの動画をニコニコ動画へ投稿する際、正式な許諾が得られる仕組みができた、ということです。SCEやMSに続いて、任天堂も積極的な姿勢を見せたことで、ゲーム実況のムーブメントはさらに大きなものとなりそうです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ニコニコ動画でのゲーム実況を許諾した任天堂

ゲーム実況の図

任天堂のゲーム動画がこれから増えていくかもしれませんね

ガイドの脳裏に一瞬よぎったのは、矢部野彦麿(やべのひこまろ)のドヤ顔でした。あの得体のしれない盛り上がりから、とうとうここまできたのか、という感慨深さと言うか、何とも言えない気持ちになりました。と言っても何のことかわからない人もたくさんいるかもしれませんね。

任天堂は、2014年11月17日に開催された「ニコニコ超会議2015発表会」の中で、岩田社長によるビデオレターを寄せ、2014年12月1日から、ニコニコ動画の「クリエイター奨励プログラム」にWii Uの「ピクミン3」やニンテンドー3DSの「時のオカリナ 3D」など、250以上のタイトルを対応させることを発表しました。

簡単に言うと、任天堂のタイトルに関して、正式に許諾された状態でゲーム実況などの動画をニコニコ動画にアップすることができ、また動画の人気が出ると投稿者に報酬もでるようになりますよと、こういうことです。

冒頭の矢部野彦麿というのは、対戦格闘ゲームの「豪血寺一族」シリーズのキャラクターの1人で、「新豪血寺一族 -煩悩解放-」というゲームに、彼が登場する「レッツゴー! 陰陽師」というPVがあるんですね。陰陽師たちが軽快な音楽にのって印を切りながらイエーイと叫ぶという、ちょっと何言ってんだか意味不明に聞こえるかもしれませんが、そういう意味不明な動画で、これがニコニコ動画で爆発的な人気となりました。

この動画が今も残っているんですが、投稿されたのが2007年3月、再生回数は1,400万を突破。ニコニコ動画に残っている動画の中では最古の動画とも言われています。

その矢部野彦麿のドヤ顔、あのわけの分からない盛り上がりから、7年が経過し、SCEやマイクロソフトは、PlayStation4(以下PS4)やXbox Oneにおいてゲームの動画配信機能をハードに搭載し、そして任天堂もニコニコ動画に正式に許諾を出すに至りました。

ふんわり黙認から、きちんと許諾に

アイドルマスターの図

ニコニコ動画のゲーム実況というと、アイドルマスターも大変盛り上がりました。

PS4にしても、任天堂にしても、非常に重要なのは包括的な許諾の仕組みにメーカーが乗ったということですよね。これまでは、基本的にはユーザーがメーカーの著作物を利用して何かを作るということに、許可は出してこなかったわけです。

ほとんどのユーザーが作る者は無許可であり、メーカーは自分たちの利益と競合が起きない限りは、見て見ぬふり、黙認をしていたわけです。これはある意味でメーカーに非常に有利で、基本的には自分たちと関係のないものです、でも勝手に盛り上がってくれるのなら何も言いません、ただしいざとなればいつでも刀は抜けますからね、という状態です。

ただし、ゲーム実況などをしたいユーザーにとっても、黙認というのは都合がよく、なんとなく文句の言われない範囲をさぐって楽しく遊んでいたわけです。怒られたら大事になる前に引き下がれば大丈夫だろうと、そういうスタンスです。

これが、例えば今回の任天堂の発表によってどうなるかというと、基本としてOKだと、許諾をするわけです。その上で、内容的にNGなものだけ個別に対応するということになります。これはある一定の範囲においてメーカーが責任を持ちますよ、ということになります。許諾する、公認するということはそういうことです。

任天堂の岩田社長は「ニコニコ超会議2015発表会」において、作り手が安心して二次創作に取り組めない状況を改善する為、と言う内容のことを話しています。メーカーも責任も負います、そして公認します、だから安心して作れます、ということですよね。

これはユーザーの動画投稿において発生しうるリスクをメーカーがとるということに他なりません。それは、リスクを取るだけの意味がある、ということでもあります。
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