雪だるまは夜に何をしているの?『ゆきだるまはよるがすき』
雪がたくさん積もって大喜びの子どもがまず取り組むのが、雪だるま作りや雪合戦。形を整えて、石や野菜で顔の表情をつけ、帽子をかぶせたりマフラーを巻いたりして出来上がった立派な雪だるまに大満足! でも翌日、丹精込めて作った雪だるまの様子が一晩ですっかり変わってしまうこともありますよね。どうしてそんなに変わってしまうのか、その楽しい理由が、絵本『ゆきだるまはよるがすき』の中に壮大なスケールで広がっています。さあ、雪だるまの楽しい夜遊びの様子をのぞいてみましょう!
知られざる雪だるまたちの夜の時間!
前日作った時の整った姿とは打って変わって姿勢も崩れ、だらんとした風貌になってしまった雪だるまを見て、男の子は考えます。こんなにひどいかっこうになるまで、一体夜の間に何があったんだろうと。このお話は、男の子のそんな空想の物語です。その空想の中で、命を吹き込まれたように表情豊かに生き生きと活動する雪だるまたちの魅力的な姿に、心を奪われていまいそうです。辺りが真っ暗になり人気がなくなるのを待って、意気揚々と活動しだす雪だるまたち。温まってはいけない雪だるまたちに雪だるまママが作るのは、とびきり冷たいアイスココア。ココアを飲みながらしばしおしゃべりを楽しんだ後は、雪や氷の上で、様々な遊びを繰り広げます。絵本のこちら側の人たちも笑顔になってしまう、はじけるようなすてきな笑顔がたくさん。「こんな楽しい時間を過ごしているなんて、ずるい! 仲間に入りたい!」と思うお子さんもいるかもしれません。何と言っても、雪でできた雪遊びのプロたちですから、遊びの勢いもはんぱではありません。雪だるまたちの陽気な歓声が、絵本を飛び出して聞こえてきそうです。
隠し絵のお楽しみも
雪だるまたちの楽しい夜遊びのほかに、この絵本には、絵の中に隠されているあるものたちを探す楽しみもあります。1度読んだ時に気づかなかった絵が、2度、3度読むうちに姿を現してくるかも。雪だるまたちの楽しい世界に入り込むほどに、その存在が浮き上がってくることでしょう。子どもたちの方が大人より、早くたくさん隠れている楽しみを見つけるかもしれませんね。崩れたり溶けかかったりしてしまった雪だるまを見た時に感じる切ない思いは、この絵本が見事に吹き飛ばしてくれます。雪が積もって雪だるまを作れる日がくることが、楽しみでたまらなくなることでしょう。