ジビエのオンパレード
入店した途端、ジビエ好きの私の血が騒ぎ始める。青首鴨、雉、猪など炭火で焼き上げる野禽たちが勢ぞろいだ。正面にはオープンキッチン。その前の左手側のカウンターが特等席だ。
カウンターからの風景が大好きだ
迫力満点のシェフがフォアグラを仕込み、ジビエを丁寧に切り分け、包み、一連の調理動作は迫力満点。その奥には青首鴨が吊るされ、火入れの時を待つ。
若い料理人は無駄なく動き、満席の店内はホールマネージャーがテキパキとワインを注ぎ、料理を運ぶ。ジャンル分けをするとしたらここはちょい上のビストロだろうか。
カトラリーは箸、その後ラギオールが登場だ
夜営業のみなので日中に仕込みの時間が十分に取れるとみた。キッチンが非常に機能的になっていることがわかる。なので、料理人の動きに無駄がない。満席でも料理が遅れることもなく、余裕をもって仕事に臨んでいる姿が見て取れる。
白子の香りが漂ってきそうだ。
シャンパーニュは大ぶりのグラスに注がれ、一口飲んで一日に仕事を一気に忘れ去りクールダウン。アミューズのフランは冷えた身体を温め、白子のソテーは程よく濃厚でふわりとした食感が後に残り、ツブ貝のエスカルゴ風は食欲のギアを上げるのは最高だ。
小さなメニューだが、味わいはストレートだ
森鳩の肉のしまりは調理法にもよるだろう。温度設定ができるスチームコンベクションオーブンよりも炭火で目の前で焼き加減を図る原始的な方法のほうが作っているほうも見ているほうも楽しいかもしれない。科学的調理が進む中、アナログ的な方法も捨てたものではない。ソースがないのが残念ではあるが、炭火の香りには必要がないということだろう。
雉の炭火焼の香りに酔う
ソムリエの秋山氏の選んだジブリー・シャンベルタンが肉料理に見事にマリアージュ。値段も手頃なのもうれしい。
ジビエ料理以外にもレギュラーメニューは多く、冷前菜、温前菜など選ぶ楽しみも十分だ。定番メニューよりも黒板メニューの方が多いので、つい上を見ている時間が長くなってしまう。それだけメニュー選びが楽しいということだ。
ジビエにはこれ以上もこれ以下もないワインが選ばれた
西麻布に開店してからもう10年を経たフランス料理店。六本木からも広尾からも歩けるが決して交通の便がいいところではないが、クリスマスにかけても押さえておきたい一軒だ。
レ・ビノム (Les VINUM)
東京都港区西麻布4-5-8 1F
地図
火~日 18:00~24:00(フードL.O)
夜10時以降入店可、月休
広尾からのほうがやや近いかもしれないがこの看板を見逃さないように