土偶のイラストを描いて見えてくるもの
しっかりと手を合わせ少し上向きな視線。口元は、あき気味で何かを唱えているかのようです。ぐっと近づいてみると、頭部は髪留め金具のようなもので髪を上部に束ねています。
流々としたあご髭は、力強く整えてあり、二輪の首輪と、両肩に輪っかリングが施され装飾を施した鎧のようなものを身につけています。腕にはツルっとした腕章のような武具が見えます。
下半身も巧妙に表現しています。
腰の周りには鎧の延長のようなものが巻かています。膝には腕同様の武具、スネには鎧同様に装飾のあるスネアテがあり、小さめの足には靴かサンダルのようなものが見えます。
全体の様子からこの土偶は戦士のようです。
これから戦いに向かう勝利へ願い、戦場での嘆願の瞬間なのか、戦禍の憂いを偲んでいるのか・・・様々な祈りがこめられた土偶なのでしょう。
両膝をたて、胸の前で合掌し見上げる戦士の祈りとは、現在にも通じるものと思います。
目を見張るほど驚く、「装飾」と「デサイン」
縄文時代といえば、「縄模様」が特徴。器や花器などに縄模様、が縄文時代の装飾。でも、この土偶をみていると縄模様の組合せのようでもあり、直線によるパターンが施されているようにも見えます。あきらかにデザインされた武具等の装飾品を表現しているではありませんか。
ボクの勝手な想像を綴っていますが、おそらく専門の研究者はもっと深い造詣・見識で解説されると思います。
しかし、初めて目にした国宝の土偶には、釘付けになります。
人間の「モノを見る目」、「モノを作り出す手」、「表現する力」、「創造する力」の根源をこの土偶から見て取れるのです。
いやぁ~、紀元前2000~前1000年の土偶ですよ。
教科書も道具も、参考品もない何もない時代にデザインする行為がすでにある、のです。
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